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政府が方針決定 小学校で「35人学級」識者に聞く
教員に“安心感”生み出す
1人1台端末に対応、学びの環境を改善
公明、教育現場の実情から訴え
日本大学文理学部 末冨芳 教授
35人学級に向けた約40年ぶりとなる小学校全体での定数改善は、子どもたち一人一人を大切にする丁寧な指導を行うよう、与党の中で一貫して求めてきた公明党の訴えが後押しとなった。訴えに当たっては、学校現場の実情を丁寧に把握した上で政府に粘り強く働き掛けてくれた。
今回の決定は、学校現場を元気づけている。1クラスの上限を40人から35人にすることについて、多忙を極める教員から喜びの声が届いており、2025年度までに1クラスの児童数が35人を超えなくなるという安心感が広がっているようだ。“5人の違い”は大きい。
35人学級はGIGAスクール構想による1人1台端末の配備に当たっても必要だ。端末の保管庫の設置などが必要になり、手狭な教室がますます狭くなるからだ。学力テストの点数だけではない多角的な観点に立って学びの環境を改善することは、学びのあり方や子どもを取り巻く状況が大きく変化している中で重要になっている。
今後、学級数に応じた正規教員の枠である「基礎定数」が増える。これまで各都道府県は、少人数指導など政策目的に応じた「加配定数」による非正規教員の追加配置を重ねてきたが、正規採用の枠を増やせる意義は人材確保の面で大きい。
一方、政府は、35人学級を実施するに当たり、生徒指導担当教員などの配置充実も図るとしており、こうした措置を、各自治体がどう生かすかが大事になってくる。例えば、要保護・準要保護児童に対応するため担任以外で課題解決に当たる教員を配置してもいい。
国会議員と地方議員が連携する公明党には今後、学校現場の実情を十分に踏まえながら、各自治体の“挑戦”を後押しするとともに、中学校や高校の少人数学級化も進めてもらいたい。
すえとみ・かおり
京都大学教育学部、同大学院教育学研究科修了。博士。専門は教育行政学、教育財政学。近年の主な研究テーマは教育費の公私負担関係のあり方、子どもの貧困対策における教育支援。内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議構成員。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)など。