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【主張】若者の感染防止 行動変容へSNSの活用強化を
緊急事態宣言の対象地域に7府県を追加してから初の週末を終えた。先に宣言が発令された4都県も含め、主要駅周辺などの人出には減少傾向がみられるが、初めて宣言が出された昨年4月ほどの大幅な減少にはなっていない。
新型コロナウイルスの感染拡大は依然、歯止めがかからず、重症者向けの病床が埋まりつつあるなど医療体制は逼迫し、医療従事者の疲労も蓄積している。新規感染者数を抑え、何としても、宣言期間最終日の2月7日までに事態を好転させねばならない。
深刻なのが20代以下の感染者数だ。東京都を見ても、感染者数における年代別の割合は30代以下で半数以上を占め、中でも20代が突出している。
前回の宣言時に比べ、国民の間でコロナ禍への慣れや自粛疲れが広がる中、若年世代は、無症状や軽症で済むケースが多く重症化リスクが低いため、感染への危機感が希薄になっているとされる。
しかし、若者を通じて家庭や職場で感染が広がるケースが多いことから、感染拡大を抑える一つの鍵となるのが若者の行動変容を一層進めることである。
指摘しておきたいのは、政府や自治体が発信するメッセージが、若者にしっかりと届いているのかという点だ。
公明党青年委員会(委員長=矢倉克夫参院議員)は15日、政府に対して情報発信の強化を柱とする緊急要請を行い、SNS(会員制交流サイト)や動画サイトの活用を訴えた。若者はテレビやラジオ、新聞に接する機会が少ないとされるだけに、主な情報収集の手段となっているSNSなどでの発信強化が重要だ。
SNSのうち、ツイッターは140字の字数制限があり、近年人気のアプリTikTokで投稿される動画は15秒ものが多い。こうした制約の中で若者に行動変容を促す情報を発信するには、SNSでフォロワーが多く若者に強い影響力を持つ「インフルエンサー」や著名人などと協力することも有効だろう。
ただし注意も必要だ。SNSは発信力、拡散力に優れる半面、コロナ禍でも多くのデマやフェイクニュースが飛び交った。こうしたリスクも念頭に、政府や自治体は正確な情報発信に努めてほしい。