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2018年10月24日

【主張】米のINF条約離脱 核軍縮に深刻な打撃、容認できず

国際的な核軍縮の取り組みに深刻な打撃を与える判断は到底、容認できない。

トランプ米大統領が、冷戦時代に米国とソ連が結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱すると表明した。

ソ連が欧州への中距離核ミサイルを配備し、米国が対抗して情勢が緊迫する中、1987年に当時のレーガン米大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が調印し、翌年発効したのがINF条約だ。

射程500~5500キロの地上発射型の弾道ミサイルや巡航ミサイルを3年以内に廃棄するよう定め、史上初めて核兵器削減を実現した歴史的な合意である。核戦争勃発の危険性は抑えられ、冷戦終結への突破口を開いた。

今回の事態の背景には、2014年のウクライナ危機以降、米と条約継承国のロシアが相互不信を募らせ、対話の回路が細った経緯がある。

米国は近年、ロシアが新型の地上発射型巡航ミサイル開発を進め、条約に違反していると批判してきた。一方のロシアは違反を認めていない。

かといって条約が崩壊すれば米国の意図とは裏腹に、ロシアのさらなる開発や配備を招こう。ロシアと北大西洋条約機構(NATO)が対峙する欧州を中心に緊張が再び高まるのは必至だ。対話路線への回帰を強く求めたい。

21年には戦略核兵器の配備数を制限する米ロの新戦略兵器削減条約(新START)が期限を迎えるが、延長協議に与える影響も懸念される。

世界の9割超を占める1万3000発以上の核弾頭を米ロが保有すると推計される。両国は世界の安定に対する重い責任を自覚してほしい。

一方でトランプ氏は、INF条約の枠外にいる中国の戦力増強も条約離脱の理由として挙げた。米国とロシア、さらに中国の関係が「新冷戦」と形容されるほど冷え込む中、条約の崩壊は三つどもえの軍拡競争を招きかねない。

米国はむしろ、国際協調路線を強めて中国なども巻き込み、実効性のある多国間の核軍縮の枠組み構築に取り組むべきではないのか。

唯一の戦争被爆国である日本は米国に翻意を促し、各国に対話や多国間の協調を働き掛けるべきだ。核軍縮の潮流を逆行させてはならない。

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