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みんなのいえ 開設
ひきこもり対策 気楽に過ごせる居場所
職員寄り添い “一歩出る”を応援
兵庫・赤穂市
兵庫県の赤穂市社会福祉協議会は、同市塩屋に、ひきこもりがちな人や、その家族を対象にした地域の居場所「みんなのいえ」を昨年10月に開設し、ひきこもりの人が気楽に過ごせる場を提供しながら、外に一歩出られるよう応援している。推進してきた公明党の前川弘文、木下守両市議が現地を視察し、関係者から話を聞いた。
市社会福祉協議会の担当者(右)から話を聞く(左から)木下、前川の両市議
赤穂市によると、ひきこもり状態にある人は市内に約100人いるという(昨年12月現在)。ひきこもりになる原因は一人一人異なり、当事者のみならず家族も周囲に相談できず長年にわたり家に閉じこもってしまうこともある。支援のあり方が問われる中、市社会福祉協議会は市から委託を受け、家に引きこもっている人のための居場所「みんなのいえ」を開設。これと連携し、市はひきこもり対策を進める社会福祉課相談窓口「え~る」を設置した。市担当者は、家族らの相談をもとに、ひきこもり当事者と何度も対話するなど信頼関係の構築を心掛け「みんなのいえ」を気軽に足を運べる居場所として紹介。一人で行きづらい場合は顔なじみの職員が同行するケースもある。
「みんなのいえ」は古民家を改装した一軒家で、部屋が四つある。大型テレビやソファがある和室、テーブルがある部屋、床の間のある談話室、渡り廊下でつながる離れ座敷のほか、日が差し込む中庭も。さらに、娯楽用として将棋、囲碁、ボードゲーム、調理が可能なキッチン、裏庭に農作業を体験できる菜園も備えており、好きな場所を使い自分のペースで過ごすことができる。
開設日時は毎週月、水、金曜日の午後1時から同4時まで。無料で利用でき、当事者の家族の相談にも応じる。看護師や介護福祉士の資格を持つスタッフ2人が常駐しており、気軽に話をしたりお茶を飲んだりして、くつろげる空間を提供している。
市によると、開設から2カ月で55人の来所があり、利用者からは「自宅とは違うが家と同じような環境で落ち着く」などの声が寄せられている。
市社会福祉協議会の担当者は、「自宅と病院などの往復だけで社会との関わりを持ちにくい人に、少しでも勇気を出して来てほしい」と語っている。
前川市議は2019年の9月定例会で、ひきこもり状態の人が外に一歩踏み出すことができる家庭的な雰囲気の居場所と、市役所内に福祉に関して何でも相談できる窓口を設置するよう訴えていた。