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党幹部座談会「希望の新時代」へ(3)
防災・減災が政治の主流に
震災10年「心の復興」まで寄り添う
井上義久副代表 今年3月11日で東日本大震災の発生から10年を迎える。死者・行方不明者が2万2000人以上にも上る未曽有の大災害だ。10年が経過したとはいえ、一瞬のうちに家族や家を失った被災者の心の傷が完全に癒えることはない。また、歳月とともに被災者が抱える生活再建への課題は複雑化しており、よりきめ細かい支援が必要だ。10年の節目を復興への新たなスタートと捉え、「心の復興」「人間の復興」へ徹して被災者に寄り添い続けていく。
山口那津男代表 発生当初、自ら被災しながらも公明党の地方議員は、「誰一人も置き去りにはしない」と他の被災者の救援に奔走した。まさに、その姿は「大衆とともに」の立党精神を体現する公明党議員の模範だ。何年経過しようとも、公明党は被災者と共に歩み続けることを誓い合いたい。
斉藤鉄夫副代表 今年3月末が設置期限とされていた復興庁は、公明党の主張を受け、さらに10年間延長される。引き続き復興は国が責任を持って進めていく。
石井啓一幹事長 復興構想会議の議長を務めた五百旗頭真氏は「(政治的な立場を超えて)公明党が復興についてブレなかったことに心から感謝している」(本紙1月1日付)と述べている。この10年、公明党は、被災地をより良い状態へと発展させていく「創造的復興」を一貫して進めてきた。その象徴の一つは、東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島県の浜通り地域で新産業を創出する国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」だ。
竹内譲政務調査会長 ここで世界最大級の水素製造施設やロボットの研究拠点が続々と稼働し、人材育成の司令塔となる国際教育研究拠点の整備にも道筋を付けたことは明るい話題になっている。
井上 復興は着実に進んでいるが、地元紙の調査(昨年7月公表)では、約7割が世間の関心の低下を感じると答えるなど時を経るにしたがって、風化が進んでいるのも事実だ。さらに、福島の農林水産物が価格低迷を克服できていないなど風評も根強い。公明党は徹してこうした風化・風評の“二つの風”と闘い、被災者を守り抜いていく。
法改正を進め災害被害軽減
斉藤 2014年の広島土砂災害の発生直後、高齢者の男性が私の前で「50年以上連れ添った女房が目の前で流されて、自分だけが助かった……」と泣き崩れていた姿が脳裏から離れない。近年、災害が激甚化、頻発化しており、災害への備えに万全を期し、国民の命と暮らしを守る政治の責任が増している。
竹内 広島の土砂災害を機に、危険箇所の周知や避難体制の強化などを柱とする土砂災害防止法が改正され、18年の西日本豪雨では、14年の災害を上回る規模だったにもかかわらず、広島市の犠牲者は減少した。政治の努力で災害被害は減らすことができる。
古屋範子副代表 熊本地震(16年)や北海道胆振東部地震(18年)なども被災地に大きな爪痕を残しましたが、公明党はいずこの被災地でも被災者のニーズを的確に捉え、地方と国のネットワークで適切な支援、復興を進めてきました。さらに災害の教訓を生かし、女性や高齢者、障がい者の視点に立った防災・減災対策に取り組んできました。
石井 公明党は18年の党大会で「防災・減災を政治、社会の主流に」と掲げ、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」をスタートさせた。3月末で終了するが、4月からは15兆円規模の「5か年加速化対策」を決め、インフラ整備など災害に強い国、地域を築いていくことになった。
公明、ブレない「人間主義」の軸
山口 まさに「防災・減災」は政治、社会の表舞台に上がってきたといえる。公明党には、「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」を貫くとのブレない政治理念、中心軸がある。だからこそ、時代に即した政策を提案し実現する力があると自負している。
教育無償化に分断防ぐ効果
井上 1964年の結党時、「大衆福祉の公明党」の旗を掲げたが、社会保障は今や「人間の安全保障」の柱の一つとして政治の主流となった。「大衆福祉」とは、個人の自由や生活を支えるセーフティーネット(安全網)にほかならない。社会の分断や格差といった問題に対応する上でも、社会保障は充実させなくてはならない。
斉藤 少子高齢化・人口減少社会が到来し、持続可能で子どもから高齢者まで安心できる「全世代型社会保障制度」の構築が喫緊の課題だ。
竹内 その構築のため公明党が長年主張してきた幼児教育の無償化が一昨年10月からスタート、昨年4月からは大学など高等教育の無償化や私立高校授業料の実質無償化も始まった。「コロナ禍の厳しい生活の下支えにも役立っている」との喜びの声も寄せられている。北海道大学の吉田徹教授は「目に見える形でさまざまな無償化が公明党主導でなされたことは分断を食い止めるための重要な施策」(月刊誌「潮」2020年12月号)と評価している。
古屋 最近では、外見からは分からない、義足や内部障がいの人が援助が必要なことを知らせる「ヘルプマーク・カード」が話題です。12年に東京都議会公明党の推進によって誕生し、党のネットワークの力で全国に普及しました。
山口 現場第一主義に徹し、社会で埋もれてしまいそうな声に光を当て、具体的な政策として届けていく。これが公明党の政治手法だ。コロナ禍の影響はまだ続くと思われる。引き続き、庶民・大衆のために働き抜き、人々の心に希望の灯をともしていこう。