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2021年1月12日

特別支援教育の現状と課題

党神奈川県女性局のセミナーでの講演(要旨)淑徳大学 松浦俊弥 教授

淑徳大学・松浦俊弥教授

公明党神奈川県本部女性局(局長=西村恭仁子県議)はこのほど、オンラインセミナーを開催。淑徳大学の松浦俊弥教授が「特別支援教育の現状と課題~デジタル時代への対応~」と題して講演を行いました。その要旨を紹介します。

学級 専門知識持つ教員が不足
学校 児童生徒が激増し過密化

私が千葉県の特別支援学校で教頭をやっていたころ、地元の小中学校の校長から「うちの学校にいる(成績などが)悪い子どもたちをサポートしてほしい」といった相談を受けた。私は「特別支援学校は、ダメな子ども、悪い子どものための学校ではない」「みんな笑顔で楽しく勉強している」と答えた。特別支援教育は、障がいや病気がある子どもの能力を伸ばすためにある。自立や社会参加をめざす教育。ここに社会の大きな誤解がある。

一方、特別支援教育が必要なのに、受けなかった場合はどうなるか。子どもの成長過程で、いろいろな教育課題、社会問題に直面してしまう。例えば、法務省の資料によれば刑務所に入る際に受刑者が受ける知能検査で全体の約2割に知的障がいを示す値が見られる。さらに、何らかの課題はあるが、はっきりとした原因や状態が分かりにくい「グレーゾーン」に位置付けられる人などを合わせれば、全体の約4割の受刑者は通常の値に達していない。つまり、本人も周囲も障がいに気付かない中で、特別支援教育を受けないことによって、社会の道を踏み外してしまう人がたくさん出ているということだ。このほか、不登校、いじめ、ひきこもり、非行なども密接に関与している。障がいのある子どもがそうなるのではない。そうなってしまった子どもの中に、隠れた障がいのある子どもがいるという認識が必要だ。

特別支援教育が実施される場所として実際に特別支援学級がある。全てではないが全国の小中学校に設置されている。弱視や難聴などの学級を入れると全部で6種類。圧倒的に数が多いのは、知的障がいと自閉症のための学級である。

最も大きな課題は、専門的な知識を持った教員が不足している点だ。そのため、障がいのある子どもに応じた教育が行われていない、という声もある。ぜひ、専門的な知識を持っている人を学校に送り出してほしい。行政として、特別支援の免許を取る人に対して、補助金を支給するなどの対策を取るべきだと考える。

特別支援学校はどうか。メリットは、先生が障がいに対して非常に理解があり、専門的な知識も高いこと。子どもも保護者も安心して、障がいに応じた適切な教育を受けられる。進路指導なども手厚い。しかし、児童・生徒数が激増し、教室不足となり過密化している。学校が郊外にあり、周りの目が届きにくい密室性、社会参加の不足といった課題もある。

私の願いは、障がいのある子どもとない子どもが共に学ぶ「インクルーシブ(包容する)教育」を充実させ、全ての子どもが地域の学校で学ぶということだ。そのためにも、小中学校、高等学校の特別支援教育に力を入れてほしいと思う。

デジタル対応 推進を

党神奈川県女性局のオンラインセミナーの様子

特別支援教育のデジタル化を進めてほしい。例えば、特別支援教育で使われている音楽の教科書。発行数は、通常の学級で使われる教科書に比べて極めて少ない。そのため、障がいに応じた指導ができていないのが実態だ。子どもたちの学びを保障する「GIGAスクール構想」により、今年4月から全ての児童・生徒にタブレットが配布される。知的障がいの子どもにも、実態に応じたデジタル教材が必要なのではと考える。

そのため、私たちは音楽の教材として、デジタルブックの開発・普及に力を入れている。この教材があれば、教員の負担が軽減される。歌入り、カラオケ、合唱などのバージョンを入れることで、子どもの発達段階に応じたきめ細かい指導ができる。専門性がなくても指導可能となる。

特別支援教育でもデジタル対応が実現できれば、家庭でも予習、復習に活用、遠隔指導も可能になり、やがて「インクルーシブ教育」の推進にも活用できる。

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