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【主張】コロナ変異種 緊張感高め、水際対策の強化を
感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異種の国内流入・拡大を、何としても阻止しなければならない。
菅義偉首相は4日の記者会見で、新型コロナの感染拡大が深刻な東京都と埼玉、千葉、神奈川3県を対象に緊急事態宣言を再発令する方針を表明。休業要請の実効性を高めるための特別措置法の改正やワクチン接種の準備促進などにも言及した。
加えて首相がコロナ対策の柱の一つとして挙げたのが、コロナ変異種に対する水際対策の強化である。
昨年12月中旬以降に英国で感染が急拡大した変異種は、欧米や中国、オーストラリアなど日本を含む世界各地に広がっている。
既に日本政府は、変異種の国内流行を阻止するため空港検疫を強化したほか、全ての国や地域から外国人の新規入国を1月末まで一時停止している。一部で認めていたビジネス関係者らの往来についても、一時停止する方向で調整に入った。
国内における変異種の感染は、昨年末までに20例以上が確認されている。この中には、14日間の待機などを適用すると業務に支障が出るため、空港検疫の対象外となる航空機のパイロットが含まれていることも判明している。
水際対策に抜け穴があってはならない。政府は緊張感を持って対応すべきである。
変異種に関しては、水際対策とともに実態解明と国民への情報発信も重要だ。
変異はウイルスが増加する過程で遺伝情報の一部が変わることであり、それ自体は特別なことではない。ただ、今回の変異種は感染力を強めている可能性がある。国内の症例の分析を急ぐとともに、英国政府や世界保健機関(WHO)と緊密に連携し、国民に正確な情報を提供することが政府には求められる。
国内で変異種が拡大した場合の備えも欠かせない。
WHOは今回の変異種について、これまでに開発されたワクチンが有効との認識を示しているが、ウイルスは常に変異している。今後、新たな変異種が発生した場合でも迅速に対応できるようウイルスの動向を監視し、ワクチンの有効性の確認などに努める必要がある。