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【主張】ワクチン接種 円滑実施へ国・自治体の連携密に
いまだ猛威を振るい続ける新型コロナウイルス感染症の収束に向け、重要な鍵を握るのがワクチンの接種である。
米製薬大手ファイザー社は18日、日本で初めての承認申請を行い、厚生労働省で審査が始まった。承認されれば来年2月下旬にも接種が開始される見通しだ。
政府は「最優先で迅速に審査する」(田村憲久厚労相)との考えだが、通常の審査を簡略化する方針のため、予想外の副反応が起きないか不安視する声もある。
世界経済フォーラムなどが11月に15カ国を対象に実施した調査では、新型コロナワクチンを接種する意向を示した割合が日本は69%で、全体平均の73%よりも低かった。
こうした現状も踏まえ、ワクチンの審査については、各国の接種状況などを見極めつつ、安全性と有効性の確保をめざして進めてもらいたい。
同時に、ワクチンの円滑な接種に向けた体制づくりも急ぐ必要がある。
接種体制に関して厚労省は18日、自治体向けの説明会を開催した。
厚労省の計画では、先行して約1万人の医療従事者を対象に来年2月下旬ごろから接種を始める。本格化するのは来年3月下旬で、3000万~4000万人の高齢者から優先的に接種する。その後、段階的に対象を広げていく。
接種については、先の臨時国会で改正予防接種法が成立、実施主体は市町村で、費用は国が全額を負担し、健康被害についても国が補償することとなった。
ワクチンの接種を希望する人は、原則として住民票のある市町村で予約することになる見通しだ。接種場所は地域の医療機関のほか、保健センター、体育館などが想定されている。このほか、相談窓口も各市町村に設置される。
かつてない規模の予防接種となる。円滑に実施できるよう、国は都道府県や市町村と緊密に連携し、準備に万全を期してもらいたい。国民への丁寧な情報提供にも努めるべきだ。
全国民分のワクチン確保などで国を後押ししてきた公明党も、国会議員と地方議員が連携するネットワークの力を生かし、自治体の取り組みをサポートしたい。