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児童・生徒「かばんが軽くなった」
教材、ノートは学校保管
国の動きに先駆けて実現
愛知・犬山市
児童・生徒の通学かばんを軽くするため、愛知県犬山市教育委員会は、全小中学校に「教科書、副教材、ノートなどを原則として学校保管とする」との通達を6月に出した。これを受け各学校は、趣旨を子どもたちに伝えるとともに、対策の前後にランドセルやかばんの重さを調査した。その結果、中学生は1人平均2.4キログラム軽くなった。文部科学省は9月、都道府県などに対し、児童・生徒が持ち運ぶ教科書などの重量に配慮するよう事務連絡を出したが、犬山市の通達や対策はこれに先駆けての実施。公明党の三浦知里市議と市民の訴えが実現した。
今年2月に市と市議会が主催した女性議会。三浦市議の声掛けで発言者となった市民の一人、島田亜紀さんは、以前から心配していた子どもの通学かばんの重さについて取り上げた。「家で使わない荷物を学校に置いてもいいようにしては」。思い切って提案した。
これを受ける形で市教育委員会は、全小中学校の校長にランドセルや通学かばんを軽くするよう求めた。しかし、学校に教材を置いて帰る「置き勉」を認めた学校はわずかだった。
公明議員 市民と荷物の重さ測り提言
三浦市議は公明党の「100万人訪問・調査」運動の中で、3人の子どもを持つ小川あゆみさんから「子どもの通学かばんが重い」との相談を受けた。同市議は小川さんと協力して、「かばんの重さを測って知らせてほしい」と母親らに呼び掛け、中学生39人のデータを集めた。その結果、かばんの重さは平均で8.3キログラム。中には10キログラムを超えるものもあった。小川さんは「地域の人に頼むと快く引き受けてくださり、みんな同じ意識を持っていたことを実感した」と話す。
三浦市議は、このデータを基に6月定例会で質問。「ある子どもの10キログラムのリュックを背負ったら、後ろにひっくり返りそうになった」と述べ、軽量化を進めるための小中学生を対象とした重量調査の実施を求めた。
これに対して、市教育委員会の滝誠教育長は打開策が必要と判断。全小中学校に足を運び、校長に対して児童・生徒の荷物軽減への協力を呼び掛けた。その後、具体的な対策を盛り込んだ通達を各校長に発信。「思い切った提案」として教科書や副教材、ノートなどを原則として学校保管とすることや、キャリーバッグの使用、全児童・生徒を対象にしたかばんの重量調査などを提言した。
中学生は平均2.4キログラム減る
重量調査は対策の前後に実施。子ども一人一人が家庭や保健室の体重計で、かばんの重さを測り、調査票に記入した。その結果、1人当たりのかばんの重さ(水筒を除く)は小学生では対策前の4.5キログラムから3.7キログラムに、中学生では7.9キログラムから5.5キログラムに2.4キログラム減量した。学年別では中学2年生で減り方が一番大きく、8キログラムから5.2キロに減った。
「置き勉OK」に子どもたちはほっとしている。小川さんの次男・希星さん(中学1年生)は「荷物が軽くなって動きやすくなりました」と語り、島田さんの次女・風花さん(中学2年生)は「以前はかばんが重いせいで登下校するだけで疲れがたまっていた。軽くなったおかげで今はあまりないです」と話していた。
女性議会で発言した島田さんは「子どもたちが楽しく学校に通う姿を見て安心しています」と喜びの声を上げていた。