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コラム「座標軸」
先週は、一気に寒波が列島を襲った。あすは冬至。日照時間が1年で最も短い。太陽も夏至と比べて4時間程度、お目にかかることができない。道理で寒さが身にしみるわけである◆やっぱりこの日は、ゆず湯で温まりたい。ゆずの皮にはαピネンやリモネンといった精油成分が含まれ、血行を良くする。皮膚からの水分蒸発を防いで体の冷えを抑える。かんきつ系の香りも気分を上げる。温泉療法専門医でもある早坂信哉・東京都市大教授が昨年、本紙連載で述べていた◆新型コロナのために、心も寒々となるような1年だったが、アニメ映画「鬼滅の刃」の記録的な大ヒットは、観た人の善性を大いに呼び覚ましたようである◆昨日付、本紙4面の土曜特集。谷村要・大手前大学准教授は、日本人に親しみのある鬼退治の物語だったことに言及。さらに、圧倒的強者である鬼に対して、団結して立ち向かう主人公らの姿が、コロナ禍で皆が弱者化する中で多くの人の共感を呼んだと見る。「罪を憎んで人を憎まず」を実践する彼らの描写も支持の背景に挙げていた◆疑心暗鬼になれば不安や分断は進むばかり。半面、互いに心を通わせることができるのも人間である。難局を乗り切るために今、力を合わせることができるかが、問われている。