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2018年10月17日

【主張】就活ルール  学生の不安解消する方向性示せ

政府は、就職・採用活動に関する新たなルールを協議する関係省庁連絡会議の初会合を開いた。

経団連は既に、今の大学2年生が対象となる2021年春入社組から就活のルールを廃止すると発表している。

これに対し、会合では「ある程度のルールは必要」などの意見を踏まえ、21年入社組については現行ルールを維持する方針で一致した。22年卒からは来年度以降にあらためて協議する。どこまでも学生に配慮した議論を望みたい。

政府による就活ルールは29日に正式に決定する予定で、経済界に順守を求めていくが、いずれにしても課題は少なくない。

経団連の現行ルールは「会社説明会は3月、選考面接は6月、内定は10月以降の解禁」と定め、加盟企業に順守を要請している。ところが、違反した場合の罰則や、非加盟および外資系企業に対する拘束力はない。約6割の企業が解禁時期よりも前に選考活動を始めているなど形骸化も指摘されており、政府のルールでも同様の懸念が残る。

何より、学生の動揺や混乱に目を向ける必要がある。

「就活が長引き、学業に専念できなくなるかもしれない」。こうした不安を抱く学生は多い。就活の長期化は、学生の疲弊を招くほか、就活に要する経済的負担がより増える可能性もある。

大学4年生の7割が「ルールは必要」とした民間の調査結果もある。学生が早過ぎる時期から就活に追われずに、勉強に打ち込める環境をどう整えるか。この点を最優先に関係者は知恵を絞るべきだ。

また、企業側、特に中小企業や地方の企業も戸惑いを隠せない。有名企業の「青田買い」を警戒しているからだ。ただでさえ、中小や地方の人手不足は深刻である。さらに「採用日程をどう組み立てればいいのか」といった声も聞かれる。こうした点へのフォローも不可欠だ。

一方で、企業活動のグローバル化は今後も一層進むことは間違いなく、優秀な人材が海外に流出するケースが増える懸念もある。日本式の新卒一括採用のあり方や中途採用の拡大など、中長期的な課題を含め、関係者には幅広い論議を期待したい。

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