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公明の主張が反映された 21年度税制改正大綱
10日に決定した2021年度与党税制改正大綱には、公明党の主張が随所に反映された。ポイントを紹介する。
■固定資産税
全ての土地で負担増回避
コロナ禍の打撃に配慮
3年に1度の評価替えの年に当たる固定資産税は、住宅地や商業地など全ての土地で税額が増える場合、2021年度に限り20年度の税額に据え置く。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた家計や事業者に配慮する。
固定資産税は、地価が上昇傾向にあった20年1月1日の公示地価を基に評価額を算出するため、新型コロナの影響でその後に下落した地価を十分反映できないとの懸念があった。現行の下落修正措置を講じた上で、税額が増加する場合は特例的に20年度と同額に据え置く。減少する場合はそのまま引き下げる。
税額を据え置かなかった場合は、土地全体で約1400億円の税収増が見込まれていた。商業地に限って負担軽減策を講じる方向での検討もあったが、住宅地も対象にすべきとの公明党の訴えが反映された。
■住宅ローン減税
13年間適用の特例延長
住宅ローン減税を通常より長い13年間にわたり適用する特例措置は、2022年末まで延長される。
住宅ローン減税は、年末のローン残高の1%を所得税などから10年間控除する制度。昨年10月の消費税増税対策として、今年末までに入居した人の控除期間を13年間に延長し、コロナの影響で遅れた場合に限り、21年末までの入居者も対象としている。
1000万円以下の所得要件を設けた上で、対象となる面積を現行の50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和することも決まった。
■子育て支援
産後ケアなど非課税に
子育て世帯の支援では、ベビーシッターや認可外保育施設の利用に対する公的補助を所得税の課税対象外とした。出産後の母親を支える自治体の「産後ケア事業」の利用料については、消費税非課税とした。
入学金や授業料といった教育資金の贈与で1500万円、結婚・子育て資金の贈与で1000万円まで、それぞれ非課税とする特例措置については、どちらも2021年3月末の適用期限を2年延長する。
■エコカー減税
対象車の割合、現行維持
車検時に納付する自動車重量税の「エコカー減税」は、2021年4月末の期限を2年間延長する。初回車検時の免税対象車の割合は現行の約25%を維持する。税率区分は現行より厳しい燃費基準「2030年度基準」に切り替え、基準を90%以上達成する車は免税、75%達成は50%減、60%達成は25%減に改める。電気自動車(EV)などは現状通り2回目車検まで一律免除となる。
自動車購入時に燃費性能に応じて課税する「環境性能割」は、税率区分を30年度基準の85%達成は非課税、75%達成は1%、60%達成は2%、それ以外は3%、EVなどは非課税とするが、昨年10月の消費税率引き上げ時に導入の税率1%軽減を21年末まで9カ月延長する。
■設備投資を後押し
脱炭素、デジタル化促す
脱炭素社会への技術革新を促すため、温室効果ガスを削減する製品の生産設備に対し、投資額の最大10%を法人税から差し引く減税措置などを導入する。
脱炭素化を加速する製品の生産設備や、製造工程を大幅に省エネ化する最新設備の導入に対し、効果に応じて投資額の5%ないし10%の法人税額控除か、50%の特別償却を適用する。
また、デジタル化の推進では、企業・組織間でデータの共有・連携が可能となるクラウドサービスへ移行する企業が行う設備投資に対する税制優遇策を創設する。
欠損金繰越控除を拡充
税務上の赤字を翌年度以降の黒字から差し引き、納税額を減らせる法人税の欠損金繰越控除が拡充される。
大企業の場合、差し引けるのは黒字の50%までだが、事業再構築に向けた投資などを行うことを条件に今年度と来年度の赤字は、その翌年度以降の5年間に限り、50%の上限を100%(全額)に引き上げる。
中小の賃上げ、統合・再編へ
中小企業支援では、従業員の給与支給総額を対前年比で1.5%以上引き上げた場合は15%、2.5%以上引き上げた場合は25%を法人税から税額控除する。また、中小企業の統合・再編に向けて、他社の株式を取得後、株式の下落による損失に備えるため、取得額の70%以下の金額を準備金として積み立てたときは、損金算入を認める。