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軽減税率の実施へ準備急ぐ
消費税10%まで1年
事業者に周知、各地で活発
体験コーナーや出張相談で
2019年10月の消費税率10%への引き上げと同時に、飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」が初めて実施されます。事業者は10%と8%の複数の税率に対応したレジの設置などが必要となります。残り1年を切り、準備を支援する動きが活発になっています。
事業者を訪ねる廿日市商工会議所の「施策普及員」=広島・廿日市市
2019年10月の消費税率10%への引き上げと同時に、飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」が初めて実施されます。事業者は10%と8%の複数の税率に対応したレジの設置などが必要となります。残り1年を切り、準備を支援する動きが活発になっています。
静岡商工会議所(静岡市)は今月1日から、軽減税率に対応した「モバイルPOS(販売時点情報管理)レジ」の体験コーナーを開設しています。使い勝手を確かめ、買い替えへの理解を深めてもらうのが狙いです。
タブレット端末で操作する同レジは、箱型のレジと比べてスペースを取らないのが利点で、経理事務の効率化も期待できます。同所は「体験コーナーの存在を知り、市外から来る人もいるなど、反響がある」と語っていました。
廿日市商工会議所(広島県廿日市市)は、「施策普及員」が事業者を訪ね、準備をアドバイスしています。17年度の実績は280事業者でした。
「未着手」が8割
各地で事業者への周知が活発に実施される一方、日本商工会議所が9月に公表した調査によれば、中小企業の約8割が軽減税率への準備に取り掛かっていませんでした。
消費税率引き上げと軽減税率の実施が政府の既定路線となる中、中小企業庁は「レジの導入などが実施直前に集中すれば、レジ機材やシステム技術者が不足することも想定される。企業には早めの準備をお願いしたい」と話しています。
レジ導入と受発注システム改修
中小向け補助金の活用を
軽減税率実施に向けた中小企業の負担を減らすため、中小企業庁は16年4月から、「軽減税率対策補助金」の事業を実施しています【図参照】。今年9月末時点で約8万1000件の申請がありました。
この事業は、複数の税率に対応したレジの導入や受発注システムの改修などに関し、必要な費用の原則3分の2を補助するものです。
レジ導入・改修の補助額は、1台当たり20万円が上限。複数台を導入する場合は、1事業者当たり200万円まで補助されます。
一方、受発注システムの改修については、発注システムは1000万円、受注システムは150万円、発注、受注両方の場合は1000万円がそれぞれ、上限となっています。
納税事務も簡素化
軽減税率の実施に伴い、標準税率10%と軽減税率8%に分けた納税事務が必要となりますが、事業者の負担に配慮し、経理方式を段階的に移行します。
最初の4年間は現行方式を基にした「簡素な経理方式」が採用されます。23年10月からは、事業者が品目ごとに消費税率を記載するインボイス(適格請求書)制度が導入されますが、導入から6年間は免税事業者からの仕入れについて、一定割合の仕入れ税額控除を認める経過措置が取られます。
制度のポイント
飲食料品全般などが対象
軽減税率の対象品目は、酒類や外食を除く飲食料品全般と定期購読の新聞(週2回以上発行)です【図参照】。
消費税は、所得の少ない人ほど負担感が重いという「逆進性」があり、軽減税率によって家計負担を軽くする効果が見込めます。
日本銀行では、その効果を1兆円と試算し、教育無償化などの負担軽減効果を合わせると、19年10月の増税に伴う家計負担増額は2.2兆円と、14年4月の前回増税時(8兆円)の4分の1程度にとどまるとしています。
消費税率引き上げ時の負担軽減策については、給付つき税額控除なども検討されました。これは、低所得者のうち所得税などの納税者には減税し、減税しきれない納税者や課税最低限以下の所得の人には現金を給付する制度です。
しかし、これでは減税や給付がかなり後になるため、日々の買い物の際に負担が軽減されず、痛税感の緩和を実感しづらいという欠点があります。
また、対象となる低所得者を絞り込む基準となる所得や資産を正確に把握するのは、現状は困難です。制度を公正・公平に運用するのが極めて難しいという問題もあります。
軽減税率の実施へ準備急ぐ
政府・与党一体で後押し
石田祝稔 政務調査会長
消費税率引き上げは、全世代が安心できる社会保障制度を維持するためです。加えて自公政権の決断で増収分の使い道を変え、幼児教育無償化など教育費負担の軽減にも充てられます。
一方、税率引き上げに伴って懸念されるのが、家計の負担増や消費の冷え込みです。公明党は、消費者の痛税感を和らげる軽減税率を政党の中で唯一、訴え続け実現へ導きました。
軽減税率の実施に当たり、対応レジの設置や受発注システムの改修など、事業者の皆さまにさまざまな対応をお願いすることになり、準備が急がれます。中小企業に対しては、補助金制度を活用して円滑な実施を後押ししています。
安倍晋三首相は5日の経済財政諮問会議で、消費税率引き上げに向けて「軽減税率への対応をはじめ、社会全体の準備が十分整うよう、政府一丸となって支援する体制を整えてほしい」と強調しています。
公明党としても、全国に広がる議員のネットワークを生かし、現行の支援策の周知徹底などに力を入れていきます。











