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2020年12月4日

コロナ禍と産後うつ

発症急増を懸念 家事・育児支援が重要 
接触減でサポート乏しい 

コロナ禍の中で、出産間もない母親の「産後うつ」のリスク上昇が懸念されている。専門家による10月の調査によると、産後うつの可能性がある母親の割合が通常時(10%程度)の約2倍になっていると報道された。そこで、コロナ禍と産後うつについて、東京慈恵会医科大学精神医学講座の井上祐紀准教授に聞いた。

東京慈恵会医科大学 井上祐紀 准教授

――産後うつ増加が今、なぜ懸念されるのか。

井上祐紀准教授 産後うつの発症要因は、ホルモンバランスの崩れなど身体的な要素も少なくないが、▽夫婦間の葛藤や不和、暴力▽夫のサポートの少なさ▽地域や親族などのサポートの少なさ▽収入が少ないこと――など社会経済的な要素が大きい。コロナ禍で、感染予防へ接触を避ける傾向が強まり、経済情勢や雇用・労働環境も悪化するなど、社会経済的な発症要因は増強されている。このため、産後うつの増加が強く懸念される状況になっている。

2011年の東日本大震災の際も、宮城県の調査では産後うつの可能性がある母親の割合が20%を超え、通常時の2倍に跳ね上がったように、コロナ禍における強いストレスが持続する中、産後うつを来す人の数が何倍にも膨れ上がっていくのではないかとの危機感を持っている。

――必要な対応は。

井上 産後うつの人に対するケアは、“心の病気”として感情や思考の側面の治療が重視されがちだが、“体の病気”としての側面も極めて大事だ。抑うつ気分は治まってきたのに、赤ちゃんの世話と相まって眠りにくい状況の中、わずかな家事でも体を動かすこと自体がつらいといった身体的な症状が長期間続くことが多い。

産後うつの母親は、家事が止まると、自分への“ダメ出し”を繰り返し「これでは子どもは育てられない」などと、どんどん悲観的になっていく。だからこそ「経済的に生活のめどが立つこと」に加え「育児・家事を回すための直接支援」や「信頼できる支援者に子どもを任せることができる時間をつくること」が必要だ。それらが母親にとって最良の心理的なケアにもなると考えているが、こうしたサポートはコロナ禍でますます乏しくなっている。

――子どもへの影響も心配されるのでは。

井上 母親の産後うつが治療されないと、子どもの情緒や体の長期的な発達、母子関係に影響を与える恐れがあるとされる。産後うつの可能性がある母親の割合(有病率)は、政府の対策もあり低下してきたものの、通常時で10%程度に上り、公衆衛生上の一大課題だ。コロナ禍で大きく増加に転じかねないという状況を放置してはならない。

コロナ禍で困難な状況に直面する産後すぐの母親が、健やかな生活へ自ら立ち上がれるよう、周囲や行政などが支えていく共助・公助が大事になっている。

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