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【主張】国会のデジタル化 論戦の充実につなげてほしい
衆院の議院運営委員会理事会は11月24日、委員会審議の際に、質疑者や答弁者らが各自で持ち込んだタブレット端末の使用を試行的に認めることで合意した。
タブレットの使用について衆院では個別に認められることはあったが、全ての委員会で許可されるのは初めてだ。これは、10月の同理事会で公明党の佐藤英道理事が提案していたものであり、国会のデジタル化が進むことを評価したい。
タブレットの活用で期待されるのは、ペーパーレス化による経費削減効果だ。
衆院は昨年、議員が政府に文書で見解をただす質問主意書と政府の答弁書のペーパーレス化を決めた。インターネットでの閲覧に切り替えるだけで年間約5000万円の経費が削減されるという。
参院も昨年、質問主意書や答弁書、本会議の会議録などをペーパーレス化するために参院規則などを改正した。総額で年間約1億7000万円の経費削減を見込んでいる。
今回、衆院で合意された委員会審議でのタブレット活用により、必要な資料はネット上で関係者が共有でき、タブレットを持っている人の分だけ紙の資料を用意する必要がなくなる。紙代の節約とともに、印刷や配布作業を担う職員の負担軽減にもなる。
委員会審議の活性化につなげることも重要だ。
委員会のたびに配布される膨大な紙の資料は持ち運びが困難だが、デジタル化されれば1台のタブレットに全て収めることができる。政策について研さんを深め、論戦の充実に役立てるべきだ。
国会のデジタル化は、委員会審議のほかでも進められている。
内閣官房IT総合戦略室は11月25日、情報の機密性に留意した上で、国会議員からの要望があれば、各省庁の職員が国会議員へ政策などを説明する「議員レク」にウェブ会議ツール「Zoom」を使用できるとする通知を全省庁に出した。
これまでは対面を基本としており職員が議員会館などに足を運ぶ必要があった。今回の通知は、職員の移動の負担軽減だけでなく、コロナ禍の教訓を踏まえた取り組みとしても重要だ。