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2020年11月29日

「スマートシティ」暮らしを快適に

福島・会津若松市からの報告

人工知能(AI)やビッグデータなどの先端技術を活用することで、誰もが便利で暮らしやすい社会をめざす未来型都市「スマートシティ」。人口減少と少子高齢化が同時進行する日本にとって、将来の課題解決のカギを握ると期待されています。スマートシティの先進地、福島県会津若松市で可能性を探りました。

母子手帳、除雪状況など
スマホ一つで確認可能

電子版の母子手帳をスマホで閲覧する芳子さん(左)=福島・会津若松市

「子どもの成長記録だけでなく、予防接種のスケジュールも確認できるんですね」――。スマートフォンで電子版の母子健康手帳を閲覧するのは、福島芳子さん(34)です。今年5月に長男の蓮凰ちゃんを出産し、子育て真っ最中。電子版母子手帳は乳幼児健診の結果をチェックしたり、子どもの年齢に合わせた育児情報を受け取ることもできると知り、使い始めました。

この電子版サービスを支えているのが、年齢、性別、家族構成といった個人属性に応じて情報を提供する市のポータルサイト「会津若松+」です。スマートシティ化で生活を便利にするための基盤であり、母子手帳のほかにも、学校だよりや除雪車の稼働状況、路線バスの現在地をスマホで見られるサービスと連携しています。

市は、このポータルサイトを市民の生活に欠かせない「都市OS(オペレーティングシステム)」にすることをめざしています。厳重な管理の下、登録情報を行政や企業のデータと組み合わせ、予防医療の提供、まちづくり、中小企業の生産性向上などに活用する方針です。

事務所でデジタル化について学ぶ古俣さん=福島・会津若松市

電子部品の組み立てや製造を行う、有限会社コマタ電子の古俣勝久代表取締役(70)は、そうした中小企業支援に強い関心を寄せている一人です。公明党の山口那津男代表が先月の参院代表質問で市の取り組みを紹介したことを受け、何ができるのか学び始めたといいます。

まず、古俣さんが期待するのは、官民連携で市内に整備したICT(情報通信技術)関連企業のオフィスビル「AiCT」に入居する27社との連携です。「手作業で少量生産に対応できる弊社の特長を生かし、これまで関わりがなかった取引先とのマッチングを支援してもらえれば」と話していました。

市民同意得てデータ収集
規制改革へ特区指定めざす

「スマートシティ会津若松」のイメージ

毎年1000人規模で進む人口減少に歯止めをかけるとともに、地域活性化を進めるため、会津若松市は2013年以降、スマートシティ化に取り組んできました。テレビ電話を使ってのオンライン診療や、LINEを活用して人工知能が市民の問い合わせに答えるサービスなど、生活の利便性を向上させる施策に、意欲的に挑戦しています。

市民の理解と協力を得る際に気を配ったのが、個人情報の取り扱いです。市は「データは市民のもの」との理念を掲げ、利用目的を明示して市民の同意を得た上で情報を収集する「オプトイン」方式を採用しました。その結果、まちづくりに貢献しようと積極的にデータを提供する市民の意識変革も生まれています。

育児や医療だけではなく、観光、農業といった多分野でICTを活用するのも特長の一つ。スマートシティへの窓口を広げ、市民参加を広げる狙いです。

一方、課題もあります。初診でのオンライン診療や目視外でのドローン(小型無人機)による農作業などは、現行法の制限を受けてしまいます。そこで市は、国の「スーパーシティ」構想への指定をめざしており、達成後は規制を改革して、より踏み込んだ実証実験を進める考えです。

公明 成果の全国展開を提言

各地のスマートシティ構築を後押しするため、公明党デジタル社会推進本部(本部長=高木美智代衆院議員)などは今月13日、菅義偉首相に「デジタル庁」創設に向けた提言を行い、先進モデル地域を指定し、成果の全国展開を支援するよう求めました。

また山口代表は10月2日に菅首相と会談した際、スマートシティの先進地である会津若松市の取り組みを念頭に、「デジタル庁を福島県につくってはどうか」と提案しています。

コロナ禍で理にかなった動き

日本大学教授 岩崎正洋氏

新型コロナウイルスの感染拡大で国民は外出や接触を控えており、自治体がICT活用やスマートシティ化を積極的に進めていく動きは、理にかなったものだ。ICT化がさらに進み、自宅から携帯端末などを使って行政手続きができるようになれば、コロナ禍の自粛や“新しい生活”を支える有効な手段になる。

スマートシティ化に向けては、住民にメリットがなくてはならない。行政手続きの電子化だけではメリットを感じにくい。個人情報も提供することで、行政サービスが受けやすくなり、税金が減免されるなど、住民に還元されるような仕組みも一定期間、必要だと考える。そうすれば、住民側も能動的にスマートシティ化に寄与していくだろう。

取り組みを進める上で、セキュリティーの問題は最重要だ。情報漏えい、改ざんなどの防止とともに、万が一に備え、どうバックアップするのか。復旧対策も十分検討しなければならない。

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