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障がい者通所施設 時間延長
仕事早退せず迎えが可能に
母親「心に余裕できた」
区民の悩みを聴き、公明議員が粘り強く実現
東京・目黒区
「通所施設の時間延長は本当に助かる。心に余裕ができた」――。こう話すのは、ひとり親として働きながら知的障がいのある息子を育てる東京都目黒区在住の右山美雪さん。目黒区は今年9月から、区内2カ所の障がい者通所施設で作業の時間が終わった後も利用者が施設内で過ごせるように、利用時間を延長している。右山さんから相談を受けた公明党目黒区議団(武藤正浩幹事長)が動き、実を結んだ。
目黒本町福祉工房でギターを弾いて過ごす昌秀さん(左から2人目)と、飯島(左隣)、関(右隣)の両議員ら
目黒区内の職場に勤務する右山さんは、午後4時半から5時過ぎまでの間に仕事を終え、息子の昌秀さん(19)を通所施設まで迎えに行くのが平日のリズムだ。しかし、昨年2月ごろ、多忙な日々を送る右山さんは悩んでいた。
その原因は、通所施設の利用時間。就学中の障がい児の場合は授業終了後、午後5時から6時頃まで障がい者通所施設で放課後等デイサービスが実施されている。ところが、学校を卒業すると、放課後等デイサービスは利用できなくなり、午後3時半から4時頃には自宅に帰らなければならなかった。
当時、昌秀さんの学校卒業を今年3月に控えていた。昌秀さんが通所施設で働くようになれば、早めの時間帯に迎えに行かなければならない。そのために、右山さんは、職場に無理をお願いし、仕事を早く切り上げる必要がある。「今後の生活をどうしたらいいのか」。こう悩んでいた時、知人から公明党区議団の関賢一、飯島和代両議員を紹介された。
昨年2月、右山さんは状況を説明し「このままだと転職せざるを得ない」と窮状を語った。両議員はその声を受け止め、昨年3月の区議会予算特別委員会で関議員が、同9月の区議会決算特別委員会で飯島議員が、それぞれ利用時間延長を要望。「保護者が仕事する時間を確保し、負担を少しでも軽くできるような対策が必要だ」などと訴えた。
さらに、党区議団として、区の障がい者団体からのヒアリングや区長への予算要望などで粘り強く推進。区側の人員確保や受け入れ施設の調整が難航したものの、国の補助を一部活用し、今年9月から昌秀さんが働く区立目黒本町福祉工房と、区立大橋えのき園の二つの通所施設で利用時間が午後6時まで延長された。
昌秀さんが今年3月に卒業してから9月に時間延長が始まるまでの約5カ月間は、右山さんは職場や施設に都合を付けてもらいながら、何とかやりくりした。「買い物に行く時間を作るのも難しい時があり苦しかった」と振り返る。時間延長が実現した今はホッと胸をなで下ろし、「同じような状況で悩んでいる友達がいるので、この事業を活用してほしい」と語る。
関、飯島の両議員は「支援が必要な人は、まだまだいると思う。さまざまなニーズをつかみ、事業内容の拡充や対象施設の拡大など、関係各所と連携して対応できるよう後押ししていく」と述べた。