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2020年11月14日

(18歳未満の介護者)ヤングケアラーどう支える

年内にも厚労省が初の実態調査

厚生労働省は年内にも、通学や仕事をしながら家族の介護や世話をする「ヤングケアラー」と呼ばれる18歳未満の子どもを対象にした実態調査に乗り出す。元当事者の声や支援団体の取り組みとともに、ヤングケアラーを支えるために必要な視点を専門家に聞いた。

学業や進学、就職に影響も

「終わりが見えず、自分の人生が思うようにいかない感覚だった」

16歳から都内で難病の母親の介護を続けている宮﨑成悟さん(31)は、最も苦しかった当時をこう振り返る。高校2年生の時、母が難病であることが判明。病状は悪くなる一方で、父親は仕事で多忙を極めていたことから、家事全般を姉と分担した。母は寝たきりとなり、たんの吸引も必要になった。介護を優先した宮﨑さんは2年間の浪人生活を経て、都内の大学に進学した。

「周りが自分の時間を目いっぱい使って楽しんだり、学んだりする中、『自分だけ何で』という、取り残されていく孤独感があった」

大学生活が始まっても、勉学と介護の両立に悩んだ。介護保険など公的支援はフル活用したが、介護が長引くと授業に間に合わず、1年次は年間8単位しか取れなかった。就職後も介護のために転職を経験した宮﨑さんは、今年、若い介護者の就職・転職を支援するYancle株式会社を設立。若者介護者が情報交換できるオンライン上のコミュニティーも運営している。

家族構成の変化背景

「ヤングケアラー」とは、本来、大人が担うと想定されるような家事や家族の世話などを日常的に行う18歳未満の子どもを指す。核家族化や高齢化、共働き、ひとり親家庭の増加といった家族構成の変化により、子どもがケアの担い手にならざるを得ない状況が背景にある。

総務省が行った2017年の就業構造基本調査では、家族を介護している15~29歳は全国で推計21万100人。だが、ヤングケアラーの対象となる18歳未満となると、全国でどれほどの規模に上るかは不明のままだ。

実際に把握された事例

一方、厚労省はこれまで、虐待などで保護が必要な子どもを支援する要保護児童対策地域協議会を対象とした調査研究を進めており、ヤングケアラーに該当する事例が把握されている。全国の教育現場を対象にした初の実態調査について、同省は早ければ年内にも開始する方針で、その結果を踏まえて支援策を検討する考えだ。

国に先行し、民間ではヤングケアラー支援の取り組みが始まっている。「横浜ヤングケアラーヘルプネット」は、毎月1回、横浜市内で家族を介護する若い世代が日頃の思いや介護情報などを語り合う場を設けている。当事者であれば誰でも参加でき、多いときは首都圏から10人以上が集まる。

「彼らの『友達に言えなかった』『言って引かれるのが嫌だった』という言葉は、驚くほど共通している。必死に他の子と同じであるように演じた経験を持っている」と語るのは、設立メンバーの一人であるソーシャルワーカーの西迫愛さんだ。介護する家族を悪く見せたくないという思いもあり、周囲に打ち明けづらいのだという。

教育、医療・介護現場、気付ける目を持って

関東学院大学(神奈川県)の青木由美恵教授は、ヤングケアラーに関する情報の普及啓発に力を注ぐ。大学が開講する教員免許状更新講習でヤングケアラーの存在を取り上げるほか、同県内の民生委員や児童委員、ケアマネジャーなどに講演活動を行っている。

青木教授は「教育や医療・介護現場の大人たちがヤングケアラーに気付ける目を持つことが重要。長期的には健康教育や認知症予防により、介護が必要となる状態を予防することで、将来のヤングケアラーを減らせる」と強調する。

省庁超えた支援体制つくる

公明党厚労部会長 伊佐進一 衆院議員

家族が担う介護の役割はなくなるどころか、世帯人数が減少し、ますます大きくなっている。子どもたちにしわ寄せがいく現状を美談としてはいけない。

子どもたちの“声なき声”をキャッチして、まずは社会全体で実態を把握し、共有することが重要だ。そのためには、年内にも実施される実態調査を通じて、厚労省と文部科学省との連携が求められる。

公明党として、省庁を超えた支援体制の構築をめざし、全ての子どもたちが自身の可能性を最大限発揮できる環境をつくっていきたい。

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