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復興支援 ありがとう
感謝伝える横断幕完成
大震災10年の来年
国際宇宙ステーションへ打ち上げ
福島・川俣町
東日本大震災から10年を前に、世界の人々へ「ありがとう」を伝えたい――。
福島県川俣町でこのほど、一般財団法人ワンアース(長谷川洋一代表理事)が企画し、来年2月に国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げる横断幕が完成、作成に携わった町立福田小学校の児童から長谷川代表理事に手渡す式典が行われた。
横断幕は、ISSから東北復興の現状や支援への感謝を発信する事業「東北復興宇宙ミッション」で使用するもので、岩手、宮城、福島3県の被災市町村などから集めた復興に関する写真や感謝のメッセージがプリントされている。
打ち上げた横断幕は、ISSにある日本の実験棟「きぼう」に展示。記された感謝のメッセージを宇宙飛行士の野口聡一さんに読み上げてもらい、その動画を震災10年となる来年3月11日に公開することで、震災復興への関心を高める計画だ。
横断幕以外にも、被災各地で工夫を凝らして選んだ記念品を打ち上げる。例えば、東京五輪・パラリンピックの聖火リレー出発地である福島県楢葉町は、横山信一復興副大臣(公明党)らの橋渡しもあり、五輪発祥の地・ギリシャから譲り受けたオリーブの種を選んだ。
今回作成した横断幕の生地には、川俣町特産の薄くて丈夫な高品質織物「川俣シルク」を使用。福田小の6年生14人が縫製を担当した。余白部分には約70カ国の言語で「ありがとう」と書き込んだ。
式典では、児童を代表して斎藤翔平くん(11)が「僕たちは震災と(東京電力福島第1)原発事故の記憶はないが、宇宙ミッションに参加し、いろいろな人が支えてくれたと分かった。世界の人に『ありがとう』の気持ちを伝えられれば」とあいさつした。
公明党福島県本部(代表=今井久敏県議)は、同ミッションの成功を全力でサポート。山家恵子町議、菅野意美子前町議は、横断幕を縫製する児童らの指南役を務めた。また、ワンアースの顧問である甚野源次郎・県本部議長は、参加自治体との懸け橋役などを担った。
長谷川代表理事は「横断幕も記念品も、宇宙から帰ってきた後は被災地のまちおこしなどに活用してほしい」と述べた上で、「大震災の教訓を次世代へつなぐバトンを子どもたちに渡したい」と期待を込めた。