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2020年11月11日

【主張】流域治水 官民一体で想定外の水害に備え

河川の流域全体の関係者が協力して水害対策に取り組む「流域治水」を推進し、豪雨災害から住民の命を守りたい。

公明党の山口那津男代表は9日、2015年の関東・東北豪雨で深刻な浸水被害を受けた茨城県常総市を訪れ、鬼怒川の新堤防を視察した。

その際、市の担当者が流域治水の必要性を強調したのに対し、山口代表は、思い切った予算措置を講じて流域治水を支援するべきとの考えを示した。

鬼怒川の例に見られるように、流域治水という考え方は、わが国の水害対策の大きな柱となっている。

これまでの水害対策は、河川や下水道、砂防施設などの管理者である国や自治体が主体となり取り組んできた。対策の内容も、堤防の整備など水をあふれさせずに海に流すことが中心だった。

だが近年は、気候変動の影響とみられる大規模な自然災害が頻発し、複数の河川が広域で同時に氾濫するなど想定外の事態が相次いでいる。

このため国が7月に打ち出したのが流域治水の方針だ。

これは、従来の洪水防止策に加え、水があふれることを前提に流域における雨水の貯留機能を高めることをはじめ、住宅や公共施設の安全な場所への移転といった対策を重視したものだ。

また、対策づくりに企業や住民など流域の関係者が関わる点も特徴の一つで、防災・減災を社会の主流に据える取り組みと言えよう。

貯留機能の重要性は昨年の台風19号でも明らかになっている。鶴見川からあふれた水が横浜市にある日産スタジアム(横浜国際総合競技場)周辺の多目的遊水地に流れ込み、住宅などへの被害を防いだだけでなく、同スタジアムでのラグビーW杯の試合も無事に行うことができた。

ただ、流域によっては遊水地の機能を水田などに求めることも想定されている。こうした点からも、地域住民が対策づくりに参加することが欠かせない。

政府は既に、全国に109ある1級水系で関係者による協議会を設置した。官民一体で具体策を検討し、水害に強い地域づくりを着実に進めてほしい。

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