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2020年11月6日

【主張】米グーグル訴訟 公正な競争環境の確保が焦点だ

巨大IT(情報技術)企業の影響力が増す中で、公正な競争環境をどう確保するか。国際的に関心が高まっている課題について新たな動きがあった。

米司法省と11の州が先月、ネット検索最大手の米グーグルを反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の疑いで連邦地裁に提訴した。ネット検索と広告市場を支配して他社の参入を阻み、競争を阻害したと判断したためだ。

グーグルやアマゾン、フェイスブック、アップルといった巨大IT企業の市場独占に対する批判が各国で高まる中にあっても、米政府は経済成長を重視して寛容な姿勢を示してきた。それだけに、今回の提訴は大きな方針転換と言えよう。

訴状によるとグーグルは、自社の検索サービスを標準搭載する見返りに、米アップルなどのスマートフォンメーカーに巨額の契約金を支払い、競合する他社の検索サイトにスマホ利用者がアクセスする経路を阻んで独占的な地位を確保していたという。

世界におけるグーグルの検索シェアは約9割と圧倒的だ。米司法省は、検索と連動するネット広告でも独占的な地位を得ていると指摘している。

IT市場は新たな技術に対して需要が生まれることで、高い成長を遂げてきた。しかし、市場で公正な競争が実現できなければ、新たなイノベーション(技術革新)の芽が摘まれて競争力を失い、サービスの質が向上せず、結果的に消費者の不利益につながりかねない。グーグル側は争う構えを見せており、裁判の行方を注視したい。

日本では、先の通常国会で巨大IT企業と取引先企業における取引慣行の透明性や公正性を確保するための法律が成立した。

巨大IT企業が、市場での支配力を背景に取引先企業に高い利用手数料を課すなど、不公正な取引が横行するケースが指摘されていたためだ。

欧州も巨大IT企業に対する規制強化に乗り出している。今回の米司法省の提訴を機に日本は国際的な連携を強める必要があろう。

その際、最優先すべきは消費者の利益であることを重ねて強調しておきたい。

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