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水素普及へ課題探る
脱炭素社会への“切り札”
市議会公明党 国内最大の製造工場へ
燃料電池車(FCV)の需要喚起策を
堺市
堺市では、脱炭素社会実現への“切り札”として注目を集めている、水素エネルギーの普及・利活用に関する官民挙げた取り組みが進められている。市議会公明党(裏山正利幹事長)はこのほど、市内にある液化水素の製造工場などを視察し、今後の課題を探った。
(株)ハイドロエッジを訪れ、液化水素の製造プラントを視察する市議会公明党のメンバー
初めに一行は、同市西区の堺臨海部にある「(株)ハイドロエッジ」を訪問。同社は岩谷産業(株)など3社の合弁会社で、国内初の商業用の液化水素製造拠点として2006年から営業運転を開始し、国内向けに液化水素を供給している日本最大級の規模を誇る施設。
同社は、エネルギー供給拠点が集積する堺臨海部の立地条件を生かそうと、隣接する堺LNG(株)の液化天然ガス(LNG)タンクから受け入れたマイナス162度の冷熱で空気中の窒素、酸素、アルゴンを分離。さらに、その過程で生成された液化窒素の冷熱を使い、天然ガスを水蒸気改質して得た水素ガスを液化している。こうした製造プロセスを採用したのは同社が国内初だという。
液化水素は、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられるロケット用燃料や半導体、化学など産業用分野での需要が年々増加している。さらに、水素をエネルギー源とする燃料電池で動く燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)の普及が進めば、需要がさらに伸びていくと見込まれていることから、同社は液化水素製造プラントを増設し、今年4月から稼働を開始。製造能力が毎時9000リットルと従前の1.5倍に増強された。
案内に立った美澤秀敏代表取締役社長は、液化水素の利点について、水素ガスに比べ体積が800分の1と小さく、大量輸送・貯蔵が容易なため「安定供給につながる」と説明。一方、国内での普及が遅れているFCVについては、FCVを購入すると燃料の水素が3年間無料になるなどの優遇策が実施されている米国カリフォルニア州を例に挙げ、利用者がメリットを感じられるよう、行政による支援策の充実を求めた。
一行はこの後、岩谷産業が今年4月、同市美原区に市内で初めて開設したFCVに水素を供給する「水素ステーション」も訪れ、同区役所に公用車として1台導入されているFCVへの充塡の様子を見学した。
流通の“川下”を後押し
09年に国の「環境モデル都市」、18年に同じく「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」に選定された堺市では、産学公で構成する「堺市水素エネルギー社会推進協議会」を設立。ロードマップ(工程表)をもとに、水素の利活用を通じた持続可能なまちづくりに取り組んでいる。
市議会公明党は、水素の普及に向けた取り組みを強力に推進してきた。公用車へのFCV導入のほか、成長産業分野の投資を支援する市の「企業成長促進補助金」の実現などに尽力。今回視察したプラントや水素ステーションの整備には同補助金が活用されている。
視察後、裏山幹事長は「脱炭素社会の実現へ、堺が貢献できるポテンシャル(可能性)は大きい。水素の普及へ流通の“川下”を広げる取り組みもさらに後押ししていきたい」と話していた。










