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化粧品関連企業 産業集積、地域に活力
着々と進むコスメティック構想
佐賀・唐津市
唐津市コスメティック産業推進室を視察する市議会公明党のメンバー(右側3人)
佐賀県唐津市は現在、市内を中心とする周辺エリアに化粧品関連企業を集積し、アジア向け商品の製造・輸出拠点化をめざす「唐津コスメティック構想」を進めている。地域経済の活性化や雇用創出が目的。同構想が生まれて今年で5年の節目を迎え、6月には英国の有力業界誌が主催する「国際飲料賞」で、同構想から生まれた健康酢飲料が部門賞を受賞し、世界の注目を集めている。市議会公明党のメンバーは先ごろ、関係者から話を聞いた。
アジア向け輸入拠点へ
「唐津コスメティック構想」は、世界最大規模の化粧品産業集積地であるフランス中部・シャルトル市を中心としたコスメティックバレーの“日本版”をめざす試み。主導するのは、唐津市と地元の化粧品関連企業だ。産官学の連携組織である一般社団法人「ジャパン・コスメティックセンター」(JCC)を推進主体とし、佐賀県内外の関連194会社と14大学、県や周辺自治体など200団体以上が加盟している。
同構想が生まれたきっかけは、2012年1月にフランスのコスメティックバレー協会名誉会長のアルバン・ミュラー氏が、急成長するアジア市場のビジネスパートナーを探して唐津市を訪れたことだ。ミュラー氏は、アジア市場に近い地理的条件や、化粧品の原料植物が豊富な自然環境などに着目。市内で化粧品の輸入代行・品質管理を手掛ける会社などと相談を重ね、同構想が練り上がった。
13年11月にはJCCが設立され、活動が本格化。JCCは、海外の化粧品産業集積地と提携を進め、15年4月に一般社団法人へ移行した。現在、コスメティックバレー協会を含む5カ国の企業などと協力連携協定を締結し、新市場開拓、地域ブランドの構築、産業創出、産業集積の4分野で事業を展開している。
昨年4月には、JCCの子会社として、地域商社「カラツスタイル」が誕生。同商社は、商品の企画開発やJCC会員企業らの商品の売り込み、販路開拓などに力を入れ、すでに韓国とシンガポールへの輸出が始まっている。
健康酢飲料など 開発商品、国内外で高評価
昨年開催された、全国の優れた美容健康商材が集まるコンテスト「ジャパンメイド・ビューティーアワード」では、唐津産の商品3点が入賞。洗顔石けんや健康飲料など、いずれもJCC会員企業が開発したものだ。
今年6月の「国際飲料賞」で部門賞を受賞した健康酢飲料は、カラツスタイルと県内メーカーが共同開発した商品で、「お酢が苦手な人でも飲みやすいさわやかな味わい」と評価された。
唐津市コスメティック産業推進室の担当者は、「アジアでコスメビジネスをやるなら唐津と言われる街にしていきたい」と話した。
市議会公明党の白水敬一、中川幸次、宮本悦子の各議員は、議会質問などを通じてコスメティック産業の活性化を推進していた。