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【主張】水素の普及 再エネ用いた技術の実用化急げ
地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)の排出量を減らし、脱炭素社会を実現するための“切り札”である水素の普及を加速する必要がある。
水素は酸素と化合して水になるときに電気を発生する。この過程でCO2を一切排出しないため、政府は、世界に先駆けて水素を主要なエネルギー源とするための取り組みを進めている。
ところが、残念ながら、水素の普及は遅れている。
国土交通省が今年4月に公表した数値によれば、2018年度の時点で、日本全体のCO2排出量の約20%を運輸部門が占めている。これは、排出量が最多の産業部門に次ぐ多さである。
このうち、自動車からの排出量が85%を超えるため、水素をエネルギー源とする燃料電池で動く「燃料電池自動車」(FCV)が普及すれば、運輸部門のCO2排出量を削減できると期待されている。
そこで、政府は20年度までにFCVを4万台程度に増やすという目標を掲げているが、今年8月末の時点で、わずか3800台にとどまる。
一方、FCVに水素を補給する水素ステーションは全国133カ所で開所しており、政府の20年度までに160カ所程度という目標に近づいている。政府は、このうち、太陽光などの再生可能エネルギー(再エネ)を用いた水素ステーションを100カ所程度にするとしているが、現時点で30カ所しかないことを環境省が今月、明らかにした。
環境省は15年度から、再エネを用いた水素ステーションを導入する自治体などに、設置費用の一部を補助する事業を実施している。しかし、補助を受けた全27施設のうち、8割以上の施設で再エネ以外の電力が使われていたことも、会計検査院の調べで今月発覚。環境省は同事業を中止するという事態となった。
水素を石炭火力発電などの化石燃料で製造していては、CO2の排出を抑えられない。再エネで発電した電力を水素ガスに転換、貯蔵する「パワー・トゥ・ガス」(P2G)という技術の世界最大級の実証施設「福島水素エネルギー研究フィールド」での実験を踏まえ、P2Gの実用化を急ぐべきだ。









