公明党トップ / ニュース / p124949

ニュース

2020年10月20日

【主張】がん治療と仕事 両立に重要な患者への情報提供

がんになっても働き続けられる環境づくりを急ぎたい。

がんの診断を受けた時に仕事をしていた人のうち、約2割が退職・廃業していたことが、国立がん研究センターの調べで明らかになった。前回調査(2014年度)の3割超に比べて改善しているものの、なお多くの人が離職している。

離職すれば、収入減によって治療の選択肢を狭めることにもつながりかねない。医療技術の発達により、治療を受けながら働き続けるケースは増えているのだから、治療と仕事の両立を支えることが重要だ。

この点、今回の調査で気になるのは、仕事を辞めた時期について約6割が治療の開始前と答えていることだ。このうち最も多かったのが「がん診断直後」の34.1%だった。しかし、治療を始める前に医療関係者から仕事の継続に関する話があったと答えた人は4割に届いていない。

患者の中には、治療と仕事との両立が可能な症状であっても、がんと診断されたショックや治療の副作用への不安などから、仕事を続ける意欲を失ってしまう人も少なくないだろう。医療関係者による適切な情報提供があれば、患者は両立に向けて前を向けるのではないか。

ここで注目したいのが、治療をしながら働き続けることを望む人に、看護師や医療ソーシャルワーカーらが継続的な相談・支援を行う「両立支援コーディネーター」だ。公明党の後押しもあって、既に4000人以上が養成されている。政府は人材育成に一層努め、医療機関などでの活用を進めるべきだ。患者側も積極的に相談してほしい。

企業側の配慮も欠かせない。勤務時間や休暇取得などについて柔軟に運用することはもちろん、上司や同僚の理解と協力が得られる職場環境をつくる必要がある。厚生労働省が公表している「両立支援のためのガイドライン」が参考になる。

社会的な啓発活動も強化すべきだ。厚労省の委託事業として東京大学病院の中川恵一准教授が、がんに関する正しい知識や最新情報を、動画投稿サイト「ユーチューブ」で発信している。こうした取り組みを広げたい。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア