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2020年10月14日

虐待、事故などから 幼い命 救う体制を整備

「子どもの死因究明」(チャイルド・デス・レビュー)制度化へ 
7府県で試行 関係機関連携し検証

虐待死など、防げた可能性のある子どもの死因を検証し、予防につなげる「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」という制度がある。厚生労働省は今年度から、7府県でモデル事業をスタートさせるなど、CDRの制度化に向けた取り組みを進めている。

CDRのイメージ

CDRは、18歳までの全ての子どもの死因について、医療や警察、行政など複数の機関が情報を持ち寄り、死に至るまでの経緯を検証することで、効果的な予防策を導き出すもの。1978年に米国で始まり、現在では約40の国や地域で制度化されている。

日本では「子どもの虐待重大検証」や「教育・保育施設等事故検証」など、個別の分野に限った検証制度はあるが、CDRのように多機関が関わる検証ではないことや、全ての死亡例を対象にしていないことから、虐待が疑われるケースなどでも見過ごされてしまう可能性があった。

事前対応で25%防止

一つの例として、厚労省の補助金を受けた研究班が、2014~16年の18歳未満の死亡例約2400件を調査した結果では、虐待が原因と考えられる事例が全体の6%に上る一方で、国の既存の検証制度で把握していたデータでは、虐待死は全体の約2%と結果に大きな開きがあった。同研究班の沼口敦医師(名古屋大学医学部付属病院)は、「一見、事故のようなものも、改めて検証を行うことでネグレクト(育児放棄)が疑われるなど、顕在化する事例もある」と、埋もれている虐待の可能性を指摘する。

また、同研究では、虐待死や不注意による事故など、事前の対応で防げた可能性が「高い」または「あり」と判断された事例が全体の25%程度あった。こうした事例について、地域の関係機関が連携し、解決策を探ることがCDRの大きな役割だ。

22年度、導入めざす

CDRについて、国は22年度の全国的な導入をめざしている。

子どもの健全な育成が国や自治体の責務であることを定めた「成育基本法」や死因究明に関する基本理念を定めた「死因究明等推進基本法」において、子どもの死因に関わる情報の集約や検証を行う体制の整備が求められていることを具体化する。

今年度、厚労省が実施するモデル事業には、群馬、山梨、三重、滋賀、京都、香川、高知の7府県が参加。各府県に設置された事務局を中心にまず、医療機関や警察、児童相談所(児相)などを対象にした「CDR関係機関連絡調整会議」を開催し、情報の提供を促す。

その後、匿名化されたデータなどを基に、法医学者や警察、保健師など幅広い分野の専門家による「多機関検証委員会」で検証。今年度中に効果的な予防策を取りまとめ、自治体への提言につなげていく予定だ。

児相対応、過去最悪ペース

厚労省の発表によると、今年の上半期(1~6月)に全国の児相が対応した虐待件数は9万8814件で、前年より1割増えた。ペースとしては、過去最悪となった18年(15万9838件)を上回っている。

関係機関や専門家の日常的な連携が、虐待の早期発見や防止につながる可能性もある。

昨年8月、鹿児島県出水市で4歳の女児が虐待によって亡くなった事件では、事前に女児の身体にあざがあり、虐待の可能性が疑われていたが、法医学者など専門家の診断にはつながっていなかった。女児の司法解剖に携わった鹿児島大学大学院の林敬人教授によると、同事件をきっかけに、県内の児相や医療機関との連携が強化され、昨年から、20件を超える虐待が疑われるケースについて、診断を求められているという。

林教授は、「(CDRのように)地域の多様な機関が連携を密にし、情報を共有していくことが大切だ」と訴える。

公明、基本法を推進

今年4月に施行された死因究明等推進基本法については、公明党が法案作成の中心的な役割を担った。

同法では、死因究明に必要な医師による解剖などの実施体制の充実や専門機関の整備に加え、事故や虐待の再発防止の観点から、死因究明の重要性を定めている。

公明党死因究明等対策プロジェクトチームの秋野公造座長(参院議員)は、「(同法が)検証体制を確立するための大きな根拠になっている。今後も、幼い命が失われる“悲劇”を繰り返さないための体制整備を進めていく」と語る。

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