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【主張】消費税率引き上げ 1年後の実施へ万全の備えを
2019年10月の消費税率10%への引き上げまで1年を切った。円滑に実施できるようしっかりと準備を進めなければならない。
言うまでもなく消費税率を引き上げる目的は、少子高齢化に伴って増大する社会保障費の安定財源を確保することである。さらに、幼児教育の無償化をはじめ教育費負担の軽減にも充てられる。
一方で、消費税率の引き上げは所得の低い人ほど暮らしへの影響が大きい。このため公明党は、飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」の導入を強く主張し、関連法の成立をリードした。
先の公明党全国大会に出席した安倍晋三首相もあいさつの中で、来年の消費税率引き上げに言及している。引き上げによる増収分を「未来を担う子どもたち、子育て世代に思い切って投資する」と強調するとともに、引き上げ時に軽減税率を実施して低所得層をはじめ国民の痛税感の緩和に努める考えをあらためて示した。
気になるのは、中小企業・小規模事業者で軽減税率への対応が進んでいないことだ。日本商工会議所が先月に発表した実態調査では、軽減税率の準備に着手できていない事業者が8割に上っている。
中小企業庁は既に、8%と10%の2通りの税率に対応できるよう、レジの買い替えや改修、クレジットカード決済に必要な端末を導入する中小企業・小規模事業者に補助金を支給する制度を始めている。19年9月末までに導入が完了したレジ1台当たり20万円、1事業者当たり200万円を上限に補助するものだ。
政府には、こうした制度の周知徹底をはじめ、事業者に対応を促す一層の取り組みを求めたい。
前回の消費税率引き上げの際、景気が一時的に冷え込んだ教訓にも学ぶ必要がある。引き上げ前の駆け込み需要と、その反動としての需要減に対する手だてのことだ。
とりわけ価格の大きな住宅や自動車など耐久消費財の購入を支援することは重要な検討課題であろう。公明党も既に対策本部を設置して議論を重ねている。
政府・与党が一体となって活力ある少子高齢社会の基盤づくりを進めたい。