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公明党全国大会 石田政調会長報告(要旨)
100万人訪問
生活不安など課題 明確に
「100万人訪問・調査」運動を通して見えてきた政策課題および党大会の重要政策について報告します。
公明党は今年4月から3カ月間にわたって、「子育て」「介護」「中小企業」「防災・減災」をテーマに調査運動に取り組みました。
国民の生活への不安や多様なニーズが浮き彫りとなり、課題が明確になりました。
子育てでは、7割を超える人が「教育費」の経済的負担に不安を抱えています。
公明党は昨年の衆院選で「教育負担の軽減」を公約に掲げ、その実現に挑んできた結果、返済不要の「給付型奨学金」の大幅拡充が政府の「新しい経済政策パッケージ」に盛り込まれ、生活保護世帯の子どもの大学進学を支援する法改正も実現しました。「幼児教育無償化」は2019年10月からの全面的な実施をめざします。
介護では、約6割が「家族の負担が大きい」と回答。支援サービスの不足が明らかです。
今後、「地域包括ケアシステム」の構築や介護予防、認知症対策を一層、推進しなければなりません。
中小企業では、支援制度を「利用したことがある」が6割に達し、公明党が推進した多くの制度が活用される一方で、4割を超える人が「利用したことがない」と答えています。その理由は「そもそも制度を知らない」が6割近くに上り、制度の周知が急務です。
防災・減災では今年、大規模な自然災害が次々と発生し、甚大な被害をもたらしています。調査では「空き家」「道路」「河川」の危険性を認識する人が3割以上に上り、安定的な財源を確保し、中長期計画に基づいたインフラ整備が必要です。
地域防災力向上やハザードマップ(災害予測地図)の整備、行動を時系列で整理する「タイムライン防災」を推進します。
今こそ、「ネットワーク政党・公明党」が国民の期待に応えていこうではありませんか。
重要政策 五つの柱
教育、社会保障など充実
次に、党大会重要政策「『人と地域を生かす共生社会』めざして」の意義を申し上げます。
わが国が直面している少子高齢化・人口減少という大きな課題に真正面から取り組み、政策を着実に実行する時です。そのためにも公明党は地域の一人一人が役割を持ち、支え合う共生社会の実現が必要と考えています。当面する今後2年間を見据え、具体的な五つの柱を立て、公明党がめざす重要政策をまとめました。
1 未来が輝く希望社会へ
一つ目の柱である「未来が輝く希望社会へ」では、一人の子どもをどこまでも大切にし、「子どもの可能性を開く教育」、そして「教育のための社会の実現」をめざします。
近年、子どもの貧困の問題も深刻です。格差を是正し、貧困の連鎖を断ち切るため、教育の機会均等を図ることが重要です。幼児教育から高等教育までの大胆な「教育の無償化」を進め、誰もが必要な教育を受けられる環境を整えます。
また、困難を抱えた子どもへのサポートや、子どもの能力を伸ばす学習機会の確保など、全ての子どもが質の高い教育を受けられるようにすることも必要です。
そのほか、学校施設の老朽化対策や非構造部材の耐震化対策などを進め、教室へのエアコン設置、洋式化を含めたトイレ環境の改善も推進します。
一方で、国際社会で活躍するグローバル人材の育成にも力を注ぎます。
2 人と地域が輝く社会へ
二つ目の柱である「人と地域が輝く社会へ」では、社会保障給付費が増え続ける中で、一人一人が輝き活躍できる社会の構築がポイントです。
今後の人口構造や雇用のあり方、家族の変容など構造変化を踏まえた社会保障のあるべき姿を示す必要があります。
地域包括ケアシステムの構築や認知症施策の推進、「活動寿命」を延ばす取り組みは極めて重要です。特に認知症への対策は喫緊の課題です。
公明党は認知症の人や、家族を支える社会を築くため、「認知症施策推進基本法」の制定をめざします。
次に、一人一人が活躍できる社会基盤の充実へ、働き方改革に取り組みます。本年の通常国会で働き方改革関連法が成立し、時間外労働に罰則付きの上限規制が設けられるなど、制度の改善を進めています。女性や若者の多様な就業形態の整備にも取り組んでいます。
障がい者の社会参加の促進や依存症対策の強化、ハラスメント対策にも取り組みます。また、地域主導の“地方創生”に取り組むべきです。
3 力強い日本経済の再生へ
三つ目の柱である「力強い日本経済の再生へ」では、「成長と分配の好循環」を深化させ、「生活者」の視点に立った経済再生の取り組みを提案しています。
内需主導の持続的な景気回復の維持へ、「力強い賃上げ」の継続や「潜在成長力を高める生産性の向上」が重要です。人手不足への対応を含め、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの活用や生産性を高める教育訓練機会の充実に取り組みます。
中小・小規模事業者の事業承継や人手不足対策など事業者に寄り添った支援の強化、第4次産業革命の社会実装や20年の東京オリンピック・パラリンピックを契機としたスポーツ産業・文化芸術振興、行政のICT(情報通信技術)化などを強力に推進します。
外国人労働者の受け入れ分野や在留資格などの法改正も視野に検討を進めます。
来年10月には消費税率10%への引き上げが控えています。前回の8%引き上げ時の教訓を踏まえ、駆け込み需要や反動減を防ぐため、住宅や自動車など耐久消費財の購入支援、軽減税率の円滑な導入に向けた中小事業者への支援に取り組みます。
農業の生産基盤の拡大やTPP11(環太平洋連携協定)、日本とEU(欧州連合)によるEPA(経済連携協定)の発効などに備えた経営体質の強化も進めます。
4 国民の生命と暮らしを守る防災・減災ニューディール
四つ目の柱である「国民の生命と暮らしを守る防災・減災ニューディール」では、防災・減災対策、大規模災害からの復旧・復興を進めます。
近年の大規模災害の頻発から防災・減災、インフラ老朽化対策は喫緊の課題です。公明党は「防災・減災ニューディール」を提唱し、災害に強い国づくりを進めてきましたが、災害に備える「防災意識社会」への転換を進め、これまで以上にハード・ソフト両面から対策を推進すべきです。
ハード面では道路や橋、堤防、水道管などの老朽化対策が急務であり、洪水・土砂災害の再発防止へ民有地の災害危険地域の整備も課題です。通学路など各地の危険なブロック塀の除去も急がれます。安定的な財源を確保しつつ、中長期計画に基づいた社会インフラ整備を進めます。
ソフト面では地域防災力の向上が重要です。大規模水害の対策として、自治体や住民などが災害時に何をするか時間を追って整理した行動計画表(タイムライン)の作成や、自らの避難行動を事前に定める「マイ・タイムライン」の普及、ハザードマップの整備を促進すべきです。
一方、災害発生時の首都中枢機能のバックアップ体制構築や専門人材の養成、復旧・復興の司令塔設置も視野に検討し、安全・安心な国づくりをめざします。
5 国際社会の平和をめざして
五つ目の柱である「国際社会の平和をめざして」では、激動する朝鮮半島情勢など国際情勢が不透明感を増す中で、戦略的な外交を通じて、安定した平和と繁栄の外交関係と安全な国際環境の創出がポイントです。
具体的には、核兵器のない世界へ向けて、唯一の戦争被爆国として、核不拡散体制の強化とともに、賢人会議や国連軍縮会議などの取り組み、広島と長崎への人的訪問を積極的に進めます。
わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。
不断の外交努力によって、国民の生命と平和な暮らしを守り抜く国際環境の創出は極めて重要です。同時に、万が一の備えとして、専守防衛の基本方針を堅持しつつ、必要な防衛力を整備していくことが重要です。また、日米防衛協力体制の信頼性や実効性を強化し、隙のない万全な防衛体制を構築することで、抑止力の強化や対処力の向上を図る必要があります。
その上で、これまでのわが国の平和国家としての歩みや国際社会における役割、極めて厳しい財政事情や国民生活にかかわる他の予算の重要性などを踏まえ、必要となる防衛力整備の「優先順位」や「効率化と合理化」といった観点から、FMS(米国政府による対外有償軍事援助)調達の透明化や効率的な防衛装備品の調達などを通じて、防衛予算の一層のコスト縮減を進めます。
以上、重要政策のポイントを説明しました。今後2年間を見据え、公明党がめざす具体的な重要政策の実現に向け、私自身が先頭に立って、全力で闘ってまいります。