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農家支える収入保険
最大で年収の8割以上を補償
加入申請手続きスタート
自然災害や農産物の価格下落時などに、農家の収入減を補う「収入保険」の加入手続きが今月1日からスタートした。全国農業共済組合連合会(NOSAI全国連)から委託を受けた各都道府県の農業共済組合と組合連合会が窓口を担う。2019年産の農産物から対象となる。
収入保険は、農家の収入減少時に、過去5年間の平均収入(基準収入)を基に最大8割以上を補うもの。青色申告を行う農業者(個人と法人)が対象だ。5年間、青色申告を行っていることを基本としているが、1年分の青色申告実績があれば加入可能。現金出納帳などに日々の取引と残高を記帳すればよい「簡易な方法」による青色申告も要件を満たすことにしている。
また、収入保険は総合的なセーフティーネット(安全網)になっているのも特徴だ。現存の収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)は米や麦など5品目に限定されているが、収入保険は、ほぼ全ての農産物を対象としている。「新規の作物導入や販路拡大といったチャレンジする農業者に対しても支援する制度」(農林水産省)だ。
毎年、保険料を支払えば収入保険に加入でき、国が保険料の50%分を補助する。積立金は支払うと補償が上乗せになり、支払わないことも可能。積立金は、国が75%分を補助する上、補てんに使われない限り翌年に繰り越せる。例えば、基準収入700万円の農業者が保険料5.4万円と積立金15.8万円を払っていれば、収入が半分の350万円になった場合でも、602万円まで補償。収入がゼロになっても567万円まで補償される。
NOSAI全国連によると、農業者からは「収入保険は、自分の売り上げが基準になるので、単価が高いブランド米の生産、販売も安心」「果樹共済よりも掛け金が安く補償も充実している」「茶共済は1番茶だけしか補償されないが、収入保険では2番茶、3番茶の売り上げも補償される」などと喜ばれているという。
公明が推進
公明党は、10年以降の国政選挙で収入保険制度の創設を重点政策に掲げ、強力に推進。農家が安心して生産に励めるよう全力を挙げてきた。