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自公が連立政権合意
コロナ禍の国難を克服
産業・雇用守り 国民生活に安心
山口代表 結束し実現へ全力
自民党の菅義偉総裁と公明党の山口那津男代表は15日午後、国会内で会談し、菅総裁の選出に伴い、新型コロナウイルス対策などを盛り込んだ新たな連立政権合意書を確認し、それぞれ署名した。会談後、山口代表は記者団に対し、「自公両党が力を合わせて、連立政権の結束の下、政権合意を実現するために全力を挙げていきたい」と強調した。合意を受け、きょう16日の衆参両院での首相指名を経て、自公連立政権による菅新内閣が発足する。
連立政権の合意文書に署名を交わした山口代表(左)と自民党の菅総裁ら=15日 国会内
党首会談には、自民党新役員として二階俊博幹事長、佐藤勉総務会長、下村博文政務調査会長、山口泰明選挙対策委員長、森山裕国会対策委員長、野田聖子幹事長代行ら、公明党から斉藤鉄夫幹事長、北側一雄副代表、石田祝稔政調会長、佐藤茂樹選対委員長、高木陽介国対委員長、石井啓一幹事長代行が同席した。
連立政権合意では、前文で「新政権発足に当たり、これまでの安倍政権における政権合意(2017年10月23日)を継承し、国民のための政策をさらに前へ進める」との方針を確認。その上で、新型コロナによる経済や国民生活への影響が広範に及ぶ事態を「未曽有の国難に直面している」との認識を表明。「自民・公明両党は、この国難を乗り越え、その先に新たな繁栄の道筋を切り拓く」として、新政権で推進する9項目の政策を列挙した。
具体的には、新たな項目として新型コロナ対策のワクチン・治療薬の確保や、医療機関への支援に全力を挙げると明記。産業と雇用を守り、経済を成長軌道に回復させるとともに、国民生活、中小企業、地方などの“安心”を取り戻すと掲げた。
また、次の時代を見据えたデジタル化や、全世代型社会保障制度の構築に向けた少子化対策、防災・減災、近年の災害からの復旧・復興、平和外交などに総力を挙げて取り組むことも盛り込んだ。
山口代表は記者団に対し、新型コロナへの対応について「秋冬の季節性インフルエンザの流行と重なれば国民が不安を覚えることも視野に入れながら対応し、国民の安心感をつくっていくことが今回の政権合意の重要な方向性だ」と力説。また、「今後の事業の継続や仕事の方向性が見えるようにすることも多くの国民が望んでいることだ。(感染拡大防止と社会・経済活動の)両立を図る政策遂行が一番大事だ」と述べた。
公明党が力点を置いた項目に関しては、前回の連立政権合意に明記された幼児教育の無償化が実現し、全世代型社会保障制度の基礎ができたとの認識を示した上で、「それを基に全世代型社会保障制度の拡充、特に少子化対策に力を入れていくことを盛り込んだ」と強調。東日本大震災など「復旧・復興に力を注ぐことも公明党が強く主張したところだ」と語った。
自由民主党・公明党政権合意(全文)
自由民主党、公明党は、新政権発足に当たり、これまでの安倍政権における政権合意(平成29年10月23日)を継承し、国民のための政策をさらに前へ進めることを確認する。
現在、わが国は、新型コロナウイルス感染症と、これによる経済や国民生活への影響が広範に及び、未曽有の国難に直面している。自民・公明両党は、この国難を乗り越え、その先に新たな繁栄の道筋を切り拓くため、以下の政策を強力に推進するものとする。
一、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)から国民の命と健康を守るため、ワクチン・治療薬の確保をはじめ、医療機関への支援にも全力を挙げる。
二、新型コロナの影響から、産業と雇用を守り、成長軌道に回復させるとともに、国民生活、中小企業、地方などの“安心”を取り戻す。
三、デジタル化の推進をはじめ、日本経済社会の脆弱性を克服する。
四、全ての人が安心して暮らせる全世代型社会保障の構築を急ぎ、とりわけ深刻な少子化を克服するための取り組みを強化する。
五、全国津々浦々まで元気にする地方創生を成し遂げる。
六、防災・減災、国土強靱化を強力に推し進めることにより、災害に強い国づくりを進めるとともに、東日本大震災をはじめ、近年の災害からの復旧・復興に全力で取り組む。
七、気候変動対策や環境・エネルギーに関する課題への取り組みを加速化させ、エネルギーの安定供給と、持続可能で強靱な脱炭素社会の構築に努める。
八、平和外交と防衛力強化により、国民の生命と財産を守る。
九、衆議院・参議院の憲法審査会の審議を促進することにより、憲法改正に向けた国民的議論を深め、合意形成に努める。
令和2年9月15日