ニュース
【主張】安倍政権の外交 多国間の自由貿易で存在感示す
安倍政権7年8カ月に関する全国紙の世論調査で、「評価する」との答えが日経と読売で74%、朝日が71%といずれも7割を超えた。このうち評価する理由を聞いた読売調査(複数回答)では「外交で日本の存在感を高めた」が75%でトップだった。
実際、安倍政権が外交分野において、幾つもの重要な成果を上げてきたことは明らかだ。とりわけ、自由で開かれた多国間貿易の推進でリーダーシップを発揮してきたことは特筆に値しよう。
TPP11(環太平洋連携協定)や、EU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)などの大型の自由貿易協定は、日本が中心となって各国の合意形成に努め、発効に導いた。行き過ぎた「自国中心主義」の台頭が懸念されている国際社会にあって、協調路線を進める日本の姿勢は国際的にも評価が高い。
公明党の斉藤鉄夫幹事長は、特にTPP11の発効に関し「多くの国が日本の主張を受け入れたのは、政治が安定している日本を信頼してくれたから」(本紙7日付)と述べている。
国内の政治が安定しているからこそ、貿易協定以外の外交課題にも安倍政権が腰を据えて取り組むことができ、実績を重ねてきたことも強調しておきたい。
具体的には、日本の外交と安全保障の基軸である米国との同盟強化を進め、現職大統領では初めてとなるオバマ氏の被爆地・広島訪問を実現した。2013年1月の山口那津男代表の訪中を機に中国との関係も大きく改善した。
米軍普天間基地問題で迷走し日米同盟を動揺させ、尖閣諸島を巡り日中関係を悪化させた民主党政権とはあまりに対照的だ。
一方で課題も少なくない。
まずは、新型コロナウイルス感染症の収束に向け、国際社会が協力して対応する体制づくりに一層尽力する必要がある。コロナ対策や貿易を巡る米中両国の対立も日本への影響が大きい。唯一の戦争被爆国として「核なき世界」の実現をめざす取り組みも忘れてはならない。
いずれも容易でないものばかりだが、自公連立政権による安定政権の下で取り組みを強めたい。