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コロナ時代を生きる 大都市圏からの報告
ホテル集客
外国人激減で発想転換
国内客向け飲食事業でカバー
大阪
新型コロナウイルスの影響でインバウンド(訪日外国人旅行者)が激減するなど、大きな打撃を受けている観光業界。中でもホテル経営などを主力とする企業は影響が深刻である。観光庁によると、6月の延べ宿泊者数は全国で前年同月比マイナス68.9%。外国人に限るとマイナス98.1%で、わずか18万人泊だ。外国人の宿泊者数が前年同月比でマイナス98.1%の3万480人泊だった大阪府。現場はあの手この手で危機に挑む。
キャンペーンが好評を博したホテルレイクアルスターアルザ泉大津内のレストラン「小津」で料理を楽しむ人たち
大阪に本社を置き、関西圏を中心にホテルやレストランなどを経営する株式会社「フラット・フィールド・オペレーションズ」の平野譲会長は「主要な売り上げの一つだった宴会ができないのは厳しい」と語る。
コロナ禍の前、同社ホテルでは、宿泊者のうち8割以上をインバウンドが占めていたという。その激減で宿泊の売り上げは3分の1に。しかし、平野会長は「今こそ生産性を高めるチャンス」と前向きに捉える。
従業員間でミーティングを開き、従来の働き方を見直す動きが出てきたほか、業務内容にも知恵を絞る。その一つが、国内の集客の起爆剤にしようと、経営する「ホテルレイクアルスターアルザ泉大津」で7月初旬から始めた試み。ホテル内にあるレストラン「小津」で手頃な価格の食べ放題メニューを提供。これが好評を博し、前年同月比でレストランの売り上げが126%に増加したという。平野会長は「大変な状況に変わりはないが、飲食事業でカバーしながら乗り切りたい」と話す。
国内客に向けた「安心感の発信」に努めているホテルも。客室利用者の50%以上がインバウンドだったというホテル日航大阪は、4~5月の客室稼働率が約10%に激減。5月下旬、感染拡大防止のガイドラインを独自に策定し、スタッフで徹底した上で、ホームページにも公開した。日航大阪の鬼村知恵企画広報部長は「安心して利用できると知ってもらうことが回復への一番の“武器”」と語る。
行政側も手をこまねいているわけではない。大阪府・市と公益財団法人大阪観光局は、関西2府4県の在住者が府内の宿泊施設に泊まるとポイントを還元するキャンペーンを6月から実施している。
施設改修を行う事業者に支援必要
大阪府議会公明党 肥後洋一朗 幹事長
府議会公明党としては、宿泊業などの事業者が「新しい生活様式」に対応した施設改修を行った際にかかる費用を支援する制度の創設を8月6日、吉村洋文知事に要望しました。現場の声を制度に反映できるよう、引き続き国とも連携して進めます。