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【主張】原油価格の高騰 家計や企業への影響に注視必要
原油価格の上昇が止まらない。暮らしや経済への影響が懸念される。
25日の海外市場では国際指標の一つである北海ブレント原油先物が3年10カ月ぶりの高値水準である1バレル82ドル台を付けた。東京商品取引所の先物価格も、約3年10カ月ぶりに大台の1キロリットル5万4000円を突破するなど今年の最高値を連日、更新している。
背景には、米国の経済制裁再開によりイランからの原油の供給が減少することへの警戒や、北アフリカの産油国・リビアの政情不安などがある。
こうした中、サウジアラビアをはじめ石油輸出国機構(OPEC)の主な加盟国と非加盟国のロシアなどが参加する会合が23日に開かれ、各国が原油の増産に努めることで一致した。
ただ、国別の増産量が具体的に示されなかったため、原油価格の上昇を抑えられるかは不透明だ。成長を続ける世界経済の足かせとならないよう、積極的な増産に取り組むことを産油国に求めたい。
国内で消費する石油のほぼ100%を輸入に頼る日本にとって、原油価格高騰の影響は大きい。
身近なところでは、ガソリン価格の高止まりが挙げられよう。資源エネルギー庁が27日に発表した25日時点のレギュラーガソリン店頭価格(全国平均)は、1リットル154.3円と約3年9カ月ぶりの高値となった。
火力発電の主力燃料である液化天然ガス(LNG)の輸入価格は原油に連動するため、電気代などもさらに上昇する見通しだ。食品や衣料品など生活必需品にも石油が使われており、物価高騰につながる懸念が強い。
また、暖房用の燃料として使用される灯油の需要期を間近に控え、原油の国際価格上昇を背景に国内でも値上がりを予測する声が目立ってきている。国は、国民生活への影響を注視し、必要な手だてを取るべきである。
特に、北海道胆振東部地震に見舞われた北海道では、1年間に消費される灯油の量が国内需要の17%を占める。電力供給が不安定な状態が続けば、暖房に使う灯油の需要が増すことも考えられる。被災地の家計への目配せも怠ってはならない。