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銚子電鉄 赤字ローカル 線新ビジネス 続々展開
ネット販売、ユーチューブ、映画も
千葉・銚子市
新型コロナウイルス感染拡大の収束がいまだ見えない中、千葉県のローカル線「銚子電鉄」(銚子市)がかつてない経営難に立ち向かい、新たなビジネスを生み出し、地元に活気を呼び込んでいる。運賃収入だけでなく副業の食品部門も低迷していたが、SNSとネット販売、ユーチューブを活用したユニークな戦略で起死回生を図る。あす28日からは自社を舞台にした映画も公開。長いトンネルの先に光を見いだそうと奮闘するローカル線の取り組みを追った。
「このままいけば、長く続いた赤字が確実に黒字になるはずだった……」。銚子電鉄の竹本勝紀社長は昨秋の台風被害からコロナ禍に至る前の状況を振り返る。事業収益の約7割を占める「ぬれ煎餅」をはじめ、食料品の製造・販売が好調で、年間赤字もほぼ減っていた頃だったという。銚子電鉄は千葉県の最東端を走る全長6.4キロの短いローカル線。乗客の約7割は観光客だ。台風と新型コロナの打撃は甚大で、観光客の運賃収入と食料品販売の売り上げが激減。緊急事態宣言下の乗客数は最大でマイナス90%以上まで落ち込んだ。結局、昨年まで4期連続の赤字。4、5月だけで3000万円の赤字となった。
4月、“経営が本当にまずい”との自虐ネタのネーミングで2年前から販売している「まずい棒」の在庫が1700袋残り、賞味期限が迫っていた。この窮状をSNSで発信し、購入を呼び掛けたところ、全国から購入者が殺到。わずか1日で完売した。これに手応えを感じ、「巣ごもり消費」をチャンスに変えようと、同月半ばにはネット販売を強化。春キャベツを使った「ぬれ餃子」や地ビール、家飲みセットなど“家でも銚子に来た気分になれる”地元産の新商品を続々と発売。その結果、4月のネット売り上げは、昨年度の年間売り上げ約1000万円を上回り、単月だけで1278万円となった。
7月からは社長自らが出演するユーチューブの公式チャンネル「激辛チャンネル」を開設。持ち前の自虐ネタで笑いを誘いつつ、自社の商品やサービスもアピール。再生数約28万回を数えるなど注目を集めている。
地元業者との協力事業を重視
「地域と鉄道は表裏一体。ローカル線は地域の広告塔になるべき」。こう話す竹本社長は、特に銚子電鉄と地元業者の協力事業「×(カケル)事業」に力を入れ、「ぬれ餃子」や居酒屋と作った駅弁「鯖威張る弁当」などを生み出してきた。メディアに取り上げられやすい公共交通機関の強みを商品開発などに生かすことで、地域の活性化に役立てたい考えだ。
あす28日からは、銚子電鉄を舞台にしたホラー系ギャグ映画「電車を止めるな!」を公開する。駐車場のスクリーンに映る作品を車内で鑑賞する千葉市の「ドライブインシアター」をはじめ、北海道、千葉、東京、新潟の一部の映画館などで上映予定。秋頃のネット配信に向けても準備している。映画の収益は経年劣化した変電所の修繕費に充てる計画となっている。
5月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、鉄道の客足は通常の約7割ほどに回復しつつあるものの、厳しい経営状況には変わらない。このほど銚子電鉄本社を訪問した市議会公明党の桜井隆、加瀬栄子の両議員は「ローカル線の存続のために、さらに市として支援できるよう応援していきたい」とエールを送った。










