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コラム「北斗七星」
「医学・医療の不変の使命は『生老病死』に寄り添うこと」(『医の希望』齋藤英彦編、岩波書店)◆コロナ禍の下で、患者に献身的に携わる医療従事者の姿勢が、改めて多くの人々から共感を集めている。こうした疫病にとどまらず、疾病のさまざまな段階と闘う患者の声に耳を傾け、苦しみや悲しみに寄り添うことが、健康増進への大きな支えとなるに違いない◆40年近くにわたり、わが国の死因第1位(18年、人口動態統計)であり、人々を脅かし続けた「がん」。放射線療法や化学療法、手術療法など医学の進歩による奏功と併せ、09~11年にがんと診断された人の5年相対生存率(治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標)は約64%(国立がん研究センター)と着実に上昇◆一方、早期検診・治療で死亡率低下が顕著な胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診受診率(19年、国民生活基礎調査)を見ると、残念ながら目標値(50%)未達成の現状も◆9月は60年の歴史を刻む「がん征圧月間」(スローガンは「いつ受ける? 声かけしよう がん検診」)。広く勧奨していくことは大切だ。国は、がん検診の種類・検査方法の最新研究成果を反映したものに見直せるよう取り組んでいく方針という。より希望や恩恵をもたらす医学の進展を望みたい。(照)