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2020年8月20日

新型コロナと今後の社会 識者に聞く

デジタル政府構築を 
行政支援「プッシュ型」で 
給付など申請待たずに迅速化 
法政大学教授 小黒一正氏

法政大学教授・小黒一正氏

――コロナ禍で日本のデジタル化の出遅れが浮き彫りになった。

小黒一正・法政大学教授 感染を防ぐ観点から企業活動や診療、大学の授業などでオンラインが取り入れられ、キャッシュレス決済も広がってきた。行政も含めリアルな対面とオンラインの組み合わせを模索している段階だが、今後、相当変わっていくのではないか。オンライン授業の恒久化を含め、コロナ禍を契機に今までできなかった改革を進めていくチャンスと捉えたい。

個人と双方向の意思疎通も

――行政は、どう変わっていくべきか。

小黒 めざすべきはICT(情報通信技術)を活用した利用者目線の「デジタル政府」の構築だ。その特長は、行政手続きなどの起点が行政側にあり、行政が個々のニーズに合ったサービスを能動的に提供する「プッシュ型」の対応が可能になること。また、個人と行政の双方向でコミュニケーションができることだ。

――具体的には。

小黒 例えば、子育て支援などに関する給付や減税は、制度自体を知らなければ、恩恵を受けられない。だが、あらかじめ行政が個人の年収や家族構成、振込先の口座などを把握していれば、申請を待つことなく行政側から対象者に伝達することが可能だ。

また、デジタル政府では、個々の施策について国民が行政にフィードバックでき、行政はそれを踏まえた施策の改善ができるのも特長だ。デジタル化で行政の業務がスリム化し、別の業務に人員を割けることから、行政の質向上も期待できるだろう。

すでに海外では、インターネット上で政府機関や税務当局、企業、銀行などのデータベースをつなぎ、互いに情報のやり取りができるシステムを導入した北欧エストニア共和国の先進的な事例もある。

――なぜ日本はデジタル化で出遅れているのか。

小黒 目に見える形でデジタル政府のメリットを感じられなかったからだろう。ただ、10万円一律給付に時間がかかったことで国民は身近な課題として受け止めたと思う。

一方、デジタル化といっても、世界と日本の議論はズレているのではないか。日本のデジタル化は、インターネットによる情報公開や電子手続きを進めていくようなイメージで、OECD(経済協力開発機構)の定義では「デジタル行政」だ。世界で進む双方向の「デジタル政府」とは相当な断絶がある。

マイナンバー口座ひも付けを

――日本でデジタル政府を構築するには、どういった取り組みが必要か。

小黒 例えば、マイナンバーとマイナンバー制度を活用した政府のオンラインサービス「マイナポータル」は、利用者目線のシステムをつくろうとする試みだろう。資産状況を正確に把握するには、全ての口座とひも付けされるのが望ましいが、最低でも一つの口座がひも付けされれば、迅速な給付ができる。まず国民にデジタル政府のメリットを享受してもらうことが重要だ。マイナンバーと全ての口座をひも付けすると給付が上乗せされるなどの仕組みを検討したらどうか。

おぐろ・かずまさ

1974年生まれ。京都大学理学部卒。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。経済産業研究所コンサルティングフェロー。著書に『日本経済の再構築』など。

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