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運用開始した八ツ場ダム 治水、観光に貢献
群馬・長野原、東吾妻町
自然災害が頻発、激甚化する日本列島。命と財産を守る防災・減災対策が求められている中、群馬県長野原町の八ツ場ダムは構想浮上から68年、紆余曲折を経て今年度から運用が始まった。水をためて安全性を確認する試験湛水の実施中だった昨年10月、台風19号に襲われた時には治水機能を発揮し、利根川下流域の洪水防止に貢献した。一方で、新たな観光資源としても注目されている。
昨年の台風禍 下流域の洪水を防止
経済活性化へ バス、トロッコで集客
八ツ場ダムを視察する福重県代表(左から3人目)と党群馬県本部のメンバー
八ツ場ダムの総貯水容量は1億750万トンで、堆砂容量を除く利水容量は9000万トン。現在は、台風や豪雨災害に備え、利水容量を2500万トンまで下げ、6500万トン分の治水容量を確保している。
ダム建設に伴い、周辺の道路や鉄道が一新される中、群馬県はダムの下流に発電所を今年度中の完成をめざして建設中。ダムの放流水を利用して電気を作るダム式発電で、最大出力は約1万1700キロワット。年間発電量は約4200万キロワット時となり、一般家庭1万2000世帯分の年間消費量に相当する。
治水機能で注目されたのが、昨年の台風19号の時だった。八ツ場ダムを含む7つの利根川上流ダム群が1億4500万トンを貯水。このうち、八ツ場ダムは、7500万トンの水を受け止めた。国土交通省の検証によると、上流ダム群の治水機能によって、上流と中流の境目にある伊勢崎市の観測地点では水位が1メートル下がっていたと分析。下流域の洪水防止に大きな役割を果たした。伊勢崎市内の利根川近くに住む田村常利さん(73)は「ダムがあって良かった。災害が相次ぐ中で本当に心強い」と話していた。
一方、八ツ場ダムの地元である長野原、東吾妻の両町は、ダムを町の重要な観光拠点と位置付け、地域経済の発展に生かす試みを開始。長野原町で水陸両用バス、東吾妻町で廃線を走る自転車型トロッコの営業がそれぞれ始まり、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、フル稼働ではないものの“八ツ場観光”の目玉として、多くの集客が期待されている。
長野原町では水陸両用バスのほか、手ぶらでキャンプやカヌーが楽しめる施設がオープン。また、バスの受付事務所となる「八ッ場湖の駅丸岩」の整備が進められている。町内在住の加辺稔さん(67)は「八ツ場ダムは町のシンボル。にぎわいの拠点として定着してほしい」と話していた。
東吾妻町では、名勝吾妻峡の景色を堪能できるトロッコの渓谷コースを八ツ場ダムまで延伸させる予定。町は別のコース開設もめざしている。
党県本部、十分な役割発揮へ後押し
公明党群馬県本部(代表=福重隆浩県議)のメンバーはこのほど、八ツ場ダムを視察し、貯水状況や発電所の建設地などを確認した。福重県代表は「八ツ場ダムが治水機能や観光資源の役割を十分に発揮できるように、国、県、町が連携して後押ししていく」と強調した。
八ツ場ダム
洪水調節、工業用水、発電などを担う多目的ダム。1947年のカスリーン台風をきっかけに、東京都など下流部の被害軽減を図るため、52年に計画。地元住民による反対運動もあったが、92年に国と長野原町が基本協定書を結んだ。2009年に旧民主党政権が「コンクリートから人へ」の象徴として建設中止を表明。12年に自公政権が復帰し、15年に本体工事が始まった。









