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2020年8月15日

コラム「北斗七星」

お盆になると、見たくなる名作がある。大林宣彦監督の映画『異人たちとの夏』だ◆主人公の壮年のシナリオライターが、子どもの頃に交通事故で亡くなったはずの両親と再会し、交流を重ねる不思議な物語。両親と言っても幽霊なのだが、足があって体も触れ合えるし、冗談を言い合って飲み食いもできる◆印象的なのは、すき焼き屋での別れのシーン。「私たち無しで28年もよくも一人でやってこれたね。お前に会えてよかった。お前を自慢に思うよ」と愛情たっぷりに話しかける両親に、「行っちゃうの」と不安げに尋ねる主人公。鍋の湯気の向こうで次第に体が消えていく父と母。「行かないで」「だめらしいや。もうちょっと間があると思ったんだが」「ありがとう」「あばよ」と会話が続く。ヒグラシの鳴き声、バイオリンのBGMが涙腺にぐっとくる◆北斗子の両親も亡くなって20年以上がたつ。満州開拓団で大陸に渡り、ソ連と戦いシベリアに抑留された父。大勢の仲間が飢えと病気で絶命する中で、九死に一生を得て帰郷したのは終戦から2年後だった。引き揚げを待つ間、命に及ぶ重度の下痢を食い止めたのは、現地の少年がくれたニンニクのおかげだと何度聞いたことか◆戦後75年のお盆。各家庭で亡き人の思い出を語り合い、語り継ぎ、感謝を捧げたい。(鷲)

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