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【主張】雇用の維持 助成金の特例延長が必要だ
新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、雇用情勢が悪化している。政府は総力を挙げて雇用維持に取り組むべきだ。
先月末に厚生労働省が発表した6月の有効求人倍率は、前月から0.09ポイント下がり1.11倍となった。
昨年12月から6カ月連続の低下で、半年間に0.46ポイントも下がったのは、1974年のオイルショック以来、46年ぶりというのだから深刻に受け止めねばならない。雇用の悪化に歯止めをかける実効性ある対策が求められる。
この点で注目したいのは、総務省が発表した6月の完全失業率が、前月比0.1ポイント低下の2.8%となり、わずかながら7カ月ぶりに改善したことだ。
これは、休業手当を支給した企業に対する雇用調整助成金(雇調金)の上限額や助成率の引き上げなどの特例措置で雇用を支え、守った効果だとの見方が強い。この特例措置は、公明党が政府に強く求めていたものだ。
ただ、5月に423万人に上った休業者のうち約半数は6月に仕事を再開したものの、卸売・小売や宿泊・飲食業を中心に236万人が休業中だ。加えて9月には、多くの企業で非正規労働者の契約更新時期を迎える。解雇や雇い止めなど、雇用情勢のさらなる悪化が懸念される。
このため公明党は、雇調金の特例措置について、9月30日までとなっている対象期間を延長するよう政府に要請している。
日本商工会議所も7日に緊急要望をまとめ、「雇用の維持・安定を図る上で、雇用調整助成金は非常に大きな役割を担っている」として特例措置の延長を求めている。政府は迅速に対応してほしい。
このほか、失業者に対しては、相談体制の強化はもちろん、労働需要の高い介護やIT分野の職業訓練などの再就職支援に一段と力を入れる必要があろう。
地方自治体の取り組みも重要だ。
新型コロナ対策として今年度第1次、2次補正予算に計上された地方創生臨時交付金は、雇用創出のための経費に充てることもできる。地域の実情に応じ、活用に知恵を絞ってほしい。