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抗体失った子どもたちのワクチン再接種費を補助
県内で助成制度が拡大
宮城県
子どもが、がん治療で骨髄移植などを受けると、定期接種のワクチンで得た効果が低下したり抗体を消失したりして、再接種が必要となることがある。その場合、任意接種扱いとなり、費用は自己負担となる。「子どもの命を守るため再接種に支援を」。患者家族の願いが届き、宮城県は今年度から、ワクチンの再接種を助成する市町村に対し、補助金の交付を開始。これによって県内9自治体で助成されるようになった。公明党は、市、県のネットワークで新制度の実現を推進してきた。
「私たちの願いをかなえてくれてありがとう!」。桜田市議(左)に感謝を伝える小野さん
「感染症からわが子を守りたい」「治療費や入院費に加え、再接種の自己負担は経済的に厳しい」――。公益財団法人「がんの子どもを守る会」の宮城支部の元には、小児がん患者の家族から切実な声が寄せられていた。同会は、風疹や麻疹、水ぼうそうなどワクチンの再接種費用の助成を求め、県へ再三にわたって要望してきたが、事態は進展しなかった。
「公明議員ならなんとかしてくれるかもしれない」。同会で副代表幹事を務める小野自子さんの脳裏には公明党の桜田誠子・石巻市議のことが浮かんだ。
桜田市議は、市骨髄バンクドナー支援事業の創設に尽力。その奮闘を知った小野さんは「患者家族の思いを市政、県政に伝えてほしい」と、桜田市議に願いをぶつけた。2018年秋のことである。
小野さんも、長男・利晃さんへのワクチン再接種の課題に悩んだ経験がある。利晃さんは2歳の時、小児がんの一種である横紋筋肉腫を発症。手術と抗がん剤治療による闘病生活は、小学校入学前まで続いたが克服できた。高校を卒業後、地元企業に就職し、社会の第一線で活躍している。
また、次男の哲史さんは、白血病により3歳で他界。それだけに小野さんは、子どもの命を大切にしたいとの強い信念で、「守る会」の活動に情熱を注いできた。
公明市議、県議の連携で患者家族の願いかなえる
その思いを受け止めた桜田市議は、19年の3月定例会で再接種費の助成を訴えるなど推進。さらに公明党の遠藤伸幸県議とも連携した。
遠藤県議は、同年9月定例会の一般質問で「再接種の助成に取り組む市町村を補助する制度を創設するべきだ」と主張。村井嘉浩知事から、「20年度から実施できるよう前向きに進めていきたい」との答弁を引き出した。
公明のネットワークが大きく後押しし、県は今年度から、骨髄移植や、さい帯血移植など造血幹細胞移植を受けた20歳未満の人への再接種を助成する市町村に対し、経費の一部を補助する事業をスタート。県による補助事業は、疾病・感染症対策室によると東北6県では初めて。石巻市が5月25日から助成を始めたほか、市の独自事業で助成している仙台市を含め県内9自治体に広がっている。
小野さんは「公明党は、私たちの願いをかなえてくれた」と謝意を述べ、「患者家族のための援助や啓発活動に一層取り組んでいく」と笑顔で前を向いていた。