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2018年9月18日

大阪北部地震から3カ月 被災者支援の課題と教訓

大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震発生から3カ月。先月には府内の被害状況の「最終報」がまとめられ一定の区切りがつく一方、被災対応への課題や今後の参考となる事例が明らかになってきた。住宅再建を巡り苦悩する高槻、茨木の両市と、要支援者対応で効果を上げた豊中市から報告する。=大阪北部地震特別取材班

住宅再建

震災から3カ月たった今もブルーシートに覆われた自宅の屋根を見つめる住民(茨木市)

一部損壊に国の補助検討を。災害続き、人手・物資も不足

大阪府防災・危機管理指令部がまとめた「最終報」によれば、住宅被害は府内で全・半壊と一部損壊を合わせ4万4507棟に上る。このうち高槻、茨木の両市は震度6弱の揺れで被害が集中した。

茨木市五日市に住む粟生裕紀子さん(67)の自宅は築50年超。屋根が崩れ、3カ月たった今もブルーシートに覆われていた。近所では屋根を修繕した家も出てきたが、地元の業者はてんてこ舞いで、九州や四国の業者に依頼したケースも。「再び地震がきたら家はつぶれるのでは」。粟生さんは、何とかお金を工面し建て替える方向で検討している。

高槻市東五百住町に住む男性(55)の自宅も地震で屋根が破損。建築業に携わっているため自力で修繕工事まで完了させた。「業者に頼めば数百万円はかかっていた」と言う。

住宅再建に向け、二つのケースに共通しているのは一部損壊の家屋に対する財政支援の“薄さ”とマンパワーの不足だ。今回の地震では、一部損壊がほとんどだったものの、被災者生活再建支援法などに基づく国の財政支援は適用されない。

このため高槻市では、修繕費が30万~50万円の場合は3万円、50万円以上だと5万円を一律に補助。茨木市では所得制限を設けた上で、修繕費が30万円以上かかった家屋を対象に上限10万円(生活保護世帯などは20万円)を補助している。

とはいえ、十分とは言えないのは明らかで、公明党は政府に財政的支援などの検討を求めている。また災害が頻発したことで業者に加え、ブルーシートといった物資まで不足しているという。

「地震後、西日本豪雨や台風21号の影響で、復旧が進むどころか、逆に被害がひどくなっている」と茨木市の河井豊副市長。「防災計画の見直しは必要。だが一部損壊の被害まで想定することは困難」(高槻市危機管理室)なのが実情だ。

要支援者対応

名簿を基に実地訓練重ね、全員の無事を迅速に確認

自力での避難が困難な「要支援者」の安否確認に関する自治体の対応の差が明らかになってきた。

国は2013年、災害対策基本法を改正し、自治体に「避難行動要支援者名簿」の作成を義務付け、大阪府内では今年3月時点で全市町村が作成を完了していた。しかし、名簿が活用されず安否確認自体を行わなかったり、活用しても確認に手間取った自治体もあった。こうした中、際立った対応を見せたのが豊中市だ。

同市は1995年の阪神・淡路大震災を教訓に、既に2002年から市独自の事業として名簿を作成。市社会福祉協議会や民生委員らと協力し合い、要支援者の安否確認訓練や日常的な見守り活動を行ってきた。

今回は、発災直後に、従来から整備してきた名簿と国の改正法に基づき新たに作成した名簿を併用。約1万3000人に上る要支援者の無事を、わずか4時間で確認し終えたのだ。このスピードは他の自治体では例を見ないものだった。

市社協の勝部麗子福祉推進室長は「訓練を重ねるとともに、要支援者とのつながりを作ってきた努力が、いざという時に発揮された」と強調。「顔の見える関係を築いてきたからこそ、支援者もわがこととして要支援者を心配し確認に走り回れた」と振り返る。

一方、課題も浮き彫りに。デイサービスなど事業所の職員が要支援者を施設に避難させていたために、かえって安否確認が遅れたケースや、改正法に基づいた名簿には載せていたものの、家族と同居し確認が不要な場合もあった。片や、健康な高齢者が避難できず自宅の食卓の下で震えていたケースも少なくなかったという。

市地域福祉課の藤田健一課長は「安否確認の対象者を広げすぎても、現場の手に負えなくなる」と、線引きの難しさを指摘する。名簿に載せるべき要支援者は誰なのか。市は最大限、実効性を担保する体制作りに向け検証を進めている。

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