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【主張】災害と高齢者施設 全員避難は早めの判断が鍵
悲劇を繰り返さないためには、どうすればいいのか。対応策をあらためて見直さなければならない。
九州南部を襲った記録的豪雨で、熊本県球磨村の特別養護老人ホームの入所者14人が亡くなった。同施設では法律で義務付けられている「避難確保計画」を作成し、定期的な避難訓練も実施していたという。それでも被害が防げなかったことを重く受け止める必要がある。
やはり、避難計画の作成が大前提だ。国土交通省によると、浸水被害が想定される区域に立地する高齢者施設などのうち、同計画を作成済みの施設は今年1月1日時点で約45%にとどまっている。
計画の作成を進めるには、自治体のサポートが欠かせない。秋田県鹿角市では市のホームページに計画のひな形を掲載したほか、未作成の施設管理者に再度の説明会を開催し、昨年10月末までに全ての対象施設が計画を作成した。国も積極的に後押しし、計画作成を促してもらいたい。
その上で重要なのは、計画の実効性を高めることだ。
昨年の台風19号で浸水被害に遭った埼玉県川越市の特養施設では、職員24人が待機して深夜2時ごろから避難を開始、100人以上の職員・利用者全員が無事だった。
今回の被害は、夜間の急激な増水で避難指示が未明に発令されたこともあり、計画通りに避難するのが難しかったのかもしれない。豪雨被害が年々、激甚化していることを考えると、これまで以上に早めに判断することが、入所者の命を守ることにつながる。
災害が深刻化する前に、いかに全員の避難を完了させるか、それぞれの施設が真剣に再検討してほしい。
一方で、こうした施設が、そもそも災害リスクの高い地域に立地しているのが問題だとの指摘もある。
先の通常国会では、災害危険区域などへの新規立地を原則禁止する都市再生特別措置法などの改正法が成立している。同法では市町村による移転計画制度も創設され、今年度予算では移転促進のための補助費用も増額されている。
こうした制度や予算がしっかり活用されるよう、国は自治体や対象施設などに、丁寧に周知すべきである。









