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2018年9月16日

乳児用液体ミルク解禁

国内製造・販売が可能に

乳児用液体ミルクの国内流通に向けて、厚生労働省が先月、規格基準を定めた改正省令を施行し、国内での製造・販売が解禁された。早ければ、来年後半にも販売が開始される見通しだ。液体ミルク解禁のメリットや経緯などについて解説する。

災害時の活用に有効 
調乳不要で手軽に授乳。育児負担の軽減にも

液体ミルクとは、成分が母乳に近く、乳児に必要なビタミンやタンパク質といった栄養素を加えた液体状の乳製品だ。粉ミルクとは異なり、調乳に欠かせないお湯などを用意する必要がない。常温保存が可能で、開封後は哺乳瓶に移し替えればすぐに飲ませられるのが大きな特長だ。

外出時や夜間に加え、共働き世帯や母親が不在時でも手軽に授乳できるので、子育て世帯の負担軽減、男性の育児参加の促進が期待される。乳幼児期の栄養源としては、母乳が最良とされるが、液体ミルクは授乳の新たな選択肢の一つになると見られている。

海外では、欧米を中心に1970年代から普及が進み、缶や紙パック、レトルトパウチなどに詰められて販売され、吸い口を容器に直接付ける商品もある。

今回の解禁によって、とりわけ注目されているのが、災害時の活用だ。地震など災害が発生し、ライフライン(生活基盤)が断絶した場合でも、水や燃料を使わずに授乳できるからだ。清潔な水が使えない状況など懸念される衛生面でも、調乳時の菌の混入による感染リスクも低減できる。

実際、2011年の東日本大震災や16年の熊本地震では、普及しているフィンランドから救援物資として被災地に届けられ、その利便性が広く知られた。

今年7月の西日本豪雨では、東京都が被災した岡山県倉敷市にフィンランド製の液体ミルクを2100個提供。8月には、愛媛県の宇和島、八幡浜両市に計540個提供された。

都は、都内で災害が発生した場合、授乳に困る人が出ることをあらかじめ想定し、今年6月、流通大手のイオン株式会社と災害時の液体ミルク調達に関する協定を結んでいた。この協定締結が契機となり、都がイオン側に液体ミルクの輸入や被災地への運搬の協力を要請したことで実現した。

各社、研究開発本格化へ 
割高な費用や使用法周知が課題

国内における液体ミルクの取り扱いを巡っては、海外で流通する商品を「乳飲料」として販売できたが、安全性や衛生面を担保する基準がなく、製造・販売は行われていなかった。

09年、日本乳業協会が液体ミルクの販売解禁に向け、規格基準の設定を厚生労働省に要望したほか、市民団体から販売解禁を求める声が上がっていた。こうした中、熊本地震も契機となり、17年3月、同省の審議会で規格基準の策定に向けた議論がスタートした。

基準の策定に際しては、日本乳業協会が製品の試験を実施。安全性や必要な栄養分が確認されたことを受け、今年3月、同省の審議会が規格基準案を了承。先月、販売を解禁する改正省令が施行された。

改正省令では「保存性のある容器に入れ、120度で4分間加熱殺菌する」といった製造基準や、「常温を超えない温度」での保存基準が設定された。消費者庁も先月、液体ミルクを乳児の発育に適した「特別用途食品」として表示する許可基準を公表、施行した。

これらを踏まえて、メーカー各社は研究開発を本格化させる。商品化には1~2年程度かかると見られ、早ければ来年後半に販売が開始される見通しだ。

販売開始を待っている消費者は少なくない。大手菓子メーカーの江崎グリコ株式会社が、現在授乳中(0~12カ月)の子どもがいる全国の父母1000人に行った調査(今年7月)によると、液体ミルクを「使用してみたい」と答えた人は51.8%に上った。

一方で、課題も残されている。まずは粉ミルクに比べて費用が割高な点だ。米国では粉ミルクの2倍弱に上るとされ、どこまで価格を抑えられるかが焦点になる。開封後は、飲み切らなければ細菌が繁殖しやすいという衛生面の懸念もある。適切な使用法を周知していく取り組みが欠かせない。

公明が強力に推進し、自治体への備蓄めざす

液体ミルクの普及をめざし、公明党は強力に推進してきた。17年2月に党女性委員会の子ども・若者支援プロジェクトチーム(PT、座長=佐々木さやか参院議員、参院選予定候補=神奈川選挙区)で、政府と意見交換を行うなど、積極的に議論を重ねてきた。

また、佐々木座長は同年3月の参院予算委員会で、液体ミルクの早期解禁・普及や災害用備蓄としての活用を主張。同年6月に政府が取りまとめた「女性活躍加速のための重点方針2017」に、「製品化の後押しに向けた取り組みを継続的に実施する」と明記された。

佐々木座長は「お母さんたちの声を受け止めた公明党が後押しして実現した施策だ。安全性への十分な配慮や価格、使い勝手の良さが適切か注視していくと同時に、地方議員と連携し、各自治体で備蓄を進めていきたい」と話している。

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