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2018年9月16日

地域の防災意識高めよう

西日本豪雨 土石流襲うも死傷者ゼロ 
広島・東広島市「洋国団地」

土石流により破壊された道路を調査する(左から)大野さん、竹川市議、山本さん=8日 広島・東広島市

自然災害が多発する中、地域住民の「自助」や「共助」の意識をどう高めていくかが改めて問われています。西日本豪雨で一人の犠牲者も出さなかった広島県東広島市の「洋国団地」の事例から、そのヒントを探ります。併せて、各地の取り組みや地域防災に詳しい東京大学生産技術研究所の加藤孝明・准教授の見解を紹介します。

山あいに一戸建て住宅が建ち並ぶ洋国団地(同市黒瀬町)を土石流が襲ったのは、7月7日の午前5時半ごろ。2戸が一瞬にして押しつぶされたほか、半壊8戸、床上・床下浸水11戸など、全約50戸の半数以上に被害が及びました。

ところが、死傷者は一人も出ませんでした。住民約100人のうち、3分の1は6日のうちに避難を済ませ、残りの人たちも自宅の2階に上がるなどして安全を確保していたからです。地元の竹川秀明・公明市議が6日夕方、開設直後の避難所へ行くと、既に同団地の住民がいました。

地域に防災意識が根付いていたことが功を奏しました。背景には、同団地ならではの三つの取り組みがありました。

顔の見える範囲で自主防災組織

一つ目は、顔の見える範囲で自主防災組織をつくったことです。同市の場合、自主防災組織の設置はまず、おおむね小学校区単位で進められています。しかし、同団地としては、一帯が市のハザードマップ(災害予測地図)で「土石流被害想定箇所」に指定されていたことから、独自の自主防災組織を2015年4月に立ち上げました。

中心者の一人で、民生委員の経験がある大野昭慶さん(75)は、設立のきっかけに14年8月の広島土砂災害を挙げています。「人ごとだと思っていたら、危ないと感じました。一人一人の命を具体的に救うことを考えれば、小単位の自主防災組織が必要です」

足腰弱い人らの担当決め、手助け

二つ目は、住民の4割が65歳を超える中、足腰が弱かったり、障がいがあったりと、自力での避難が難しい人がいるため、手助けする「担当制」を導入したことです。

大野さんら5人がこうした住民を受け持つこととし、“災害時に誰をどう避難させるか”をあらかじめ決め、それを地図に落とし込んだ「防災マップ」を作製しました。

訓練など通じて早期避難を徹底

三つ目は、災害時の早期避難の徹底です。本番さながらの避難訓練を年2回行い、大野さんも担当する住民を介助ベルトを使って背負い、運んだりしてきました。加えて、ハザードマップや緊急告知ラジオの配布を進めたりし、早期避難の大切さを住民に繰り返し呼び掛けてきました。

その結果、今回、大野さんは土石流発生の前日夕方には、高齢夫婦からの要請を受け、約4キロ離れた避難所へ連れて行くことができました。

「少しでも危険を感じたら、避難勧告などを待たず、自主避難すべきです。それが自分を助け、周りの負担を減らすことにつながる。共助に頼りすぎないことも大事」。大野さんと一緒に防災活動に取り組んできた山本俊徳さん(71)は、そう強調していました。

発災2カ月が過ぎた今も、大野さんや山本さんら10人以上が、みなし仮設住宅などで避難生活を余儀なくされています。大野さんは「今回を教訓に、皆で災害への備えを進めていければいい」と語っていました。

各地の取り組み
児童らが避難所巡り リーダー育成へ市民講座

防災意識を高めるユニークな取り組みが各地で行われています。

徳島県阿南市の市立津乃峰小学校は、南海トラフ地震による津波被害が想定されることから、迅速な避難を促す防災教育に力を入れています。

例えば、校区内20カ所の避難所を、児童や保護者が実際に歩いて確認する“ウオークラリー”を昨年度から開催。バス車内での避難生活を想定した宿泊体験学習も実施しています。吉田忠司校長は「地域住民の協力を頂く機会が多く、地域にも防災意識が広がっています」と語ります。

岩手県陸前高田市は今年5月から、地域の防災リーダー(防災マイスター)の育成へ、市民向けの講座を独自にスタートさせました。

受講料は無料。12月まで月1回のペースで、約40人が気象や避難情報の知識、災害時の行動心理などを学びます。市防災課は「災害発生時に、率先して対応できる人材を増やしたい」と話します。

埼玉県新座市の石神、北原、堀之内の三つの自主防災会は、幅広い世代が参加しやすい工夫を凝らした合同防災訓練を年1回行っています。

スタンプラリー形式で、避難所用のダンボールハウス作りや、新聞紙を使った簡易スリッパ作りなどの企画を体験して回り、楽しみながら学べます。

地域の防災意識高めよう
求められる住民同士の共助
東京大学生産技術研究所 加藤孝明准教授

地域の防災意識高めよう/求められる住民同士の共助/東京大学生産技術研究所 加藤孝明准教授

地域の防災を考える出発点は、「自分が暮らす地域で起こり得る災害の可能性を、主体的に理解すること」です。

ハザードマップなど行政情報を単に確認するだけでなく、命を守る避難行動に結び付けられるかどうかが重要なポイントです。やはり、地区防災計画の作成や防災教育の充実などにより、住民同士の共助を強めていくことが求められます。

また、東日本大震災以降、防災に偏り、まちづくりが行き詰まるケースも散見されます。こうした中、住民と企業、行政らが一丸となって観光と防災の両立に取り組む静岡県伊豆市が注目を集めています。

今年3月、市内の一部が全国初の「津波災害特別警戒区域」に指定されました。観光業への影響などを懸念し、公募によって同地域を「海のまち安全創出エリア」と名付け、津波防災に強いまちというブランドづくりに力を入れています。

総合的なまちづくりが結果的に地域の防災性を高めます。

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