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2020年7月1日

複合的な課題解決めざす

8050問題、ダブルケア…… 
社会福祉法 改正の背景と内容

地域共生社会の実現に向け、貧困や介護、孤立などに対応する市区町村の相談支援体制を強化する社会福祉法などの一括改正法が先の通常国会で成立した。「断らない相談支援」「伴走型支援」など公明党が訴えてきた主張が盛り込まれている。「誰も置き去りにしない社会」をめざした法改正の背景や内容について解説する。

改正社会福祉法のポイント

■8050問題、ダブルケア等複数の課題を抱えている家庭全体を受け止め、多機関連携、アウトリーチで支援

■課題解決型の支援だけでなく、本人・世帯の状況を見守りながら、継続的に関わる伴走型支援が重要な柱に

■寄せられた相談を断らずに受け止め、多機関の協働やアウトリーチ(訪問)を実施

■既存の取り組みでは対応できない、はざまのニーズにも、既存の地域資源を活用して対応

■属性や世代を超えて住民同士が交流できる場や居場所の確保

必要性高まる包括支援 
貧困、介護、孤立など「断らない相談」で対応

日本の福祉制度は、1980年代後半以降、「高齢」「障がい」「子ども」など属性別、対象者別に制度が整備されてきた。

一方、昨今は、人口減少など社会構造の変化に加え、個人の価値観の変化、従来の血縁、地縁、社縁の希薄化などにより、いわゆる「8050問題」や社会的孤立、介護と育児を同時に担う「ダブルケア」、就職氷河期世代やひきこもり問題など、制度・分野を超えた複合的な課題が浮かび上がってきている。

複合的な課題を抱えている人は、これまでの法制度、支援の枠組みに当てはまらないため、相談に行っても、たらい回しに遭ったり、適切な支援につながらないケースが多い。

こうした状況を改善するため、複合的な課題を抱えている一人一人の状況を相談で把握し、その状況に合わせて必要な支援につないでいく生活困窮者自立支援制度が2015年度からスタートし、各地で包括的支援の仕組みづくりが進められてきた。

その一方で、例えば分野を超えた総合相談窓口を設置すると、旧来の縦割りの制度を前提にして会計検査院などから事業ごとに財源を案分することが求められるなどの課題も指摘され、地方自治体から安心して包括的支援を実施できる体制整備が求められていた。

そこで改正法では、介護・障がい者福祉・子育て・生活困窮の相談支援に関する事業を一体として実施し、本人・世帯の属性にかかわらず受け止める「断らない相談支援体制」を市区町村で構築することに加え、新たに参加支援、地域づくり支援をセットで行う、「重層的支援体制整備事業」を明記した。さらに、それを支えるものとして、伴走型支援、多機関協働、支援プランの策定も新たに盛り込んだ。

少子高齢化・人口減少が進み、地域社会の担い手も不足し、地域の支え合いの力が低下している。こうした中で、各市区町村において地域住民や民間団体等と連携・協働した地域づくりを推進することは、「誰も置き去りにしない」「誰も孤立させない」という地域共生社会の実現、全世代型社会保障の実現につながるものだ。

今回のコロナ禍によって、さらにその必要性と重要性は高まっており、国・地方を挙げて取り組む必要がある。

8050問題 高齢化した親が、ひきこもりなどを抱える中高年の子どもを支える家庭で、生活困窮と介護が同時に生じる問題。近年、ひきこもり状態にある人の高齢化や、地域からの孤立の長期化により、社会的な課題として顕在化している。

内閣府が2019年に公表した調査では、40~64歳で、ひきこもり状態にある人は61万3000人と推計されている。ただ、家族の外からは見えにくく、厚生労働省は今後、8050問題など社会的孤立について実態調査を行う。

ダブルケア 家庭において、家族や親族の介護と育児を同時に担う状況のこと。制度のはざまに置かれ、1人で困難を抱えてしまうケースも少なくない。

2016年に内閣府が発表したデータでは、ダブルケアに直面する人は全国で約25万人(男性8万人、女性17万人)いると推計されている。共働き世帯で対応に追われる人も多く、その負担は女性に集中しているとみられる。

男女とも平均年齢は40歳前後で、30~40代だけで全体の8割を占める。

社会とのつながり回復へ 
伴走型、訪問型の取り組みも

自治体の包括的支援のイメージ

改正法に明記された「重層的支援体制整備事業」は、市区町村において、既存の相談支援などの取り組みを維持しつつ、地域住民の抱える課題解決のための包括的な支援体制の整備を進めるため、断らない相談支援・参加支援・地域づくりを一体として行うものだ。

「断らない相談支援」では、あらゆる相談を断らず、受け止め、必要な支援につなぐなど、関係機関や地域住民と連携して支える体制をつくる。

「参加支援」は、地域の資源を生かしながら、就労支援、居住支援などを提供し、社会とのつながりを回復することで、多様な形の社会参加を促す。

「地域づくり」は、地域社会からの孤立を防ぐとともに、地域における多世代の交流や多様な活躍の場を確保することをめざす。

また、課題解決をめざすだけでなく、社会とのつながりを取り戻し、つながり続ける伴走型支援が、改正法のもう一つの柱として位置付けられている。

具体的には、専門職や地域住民らが自治体職員と共に継続して伴走できる体制を構築するようにする。加えて「アウトリーチ(訪問)型」の支援などにも取り組む。

このほか、2021年4月1日の改正法施行に向け、新たな事業による支援の具体的なあり方について検討するために、現場の支援者もメンバーに含めた有識者会議を開催し、市区町村や支援関係者に向けた資料を作成する。

なお、重層的支援体制整備事業は、市区町村の手挙げ方式で行われることになっているが、多くの自治体で実施されるよう、国や都道府県が必要な支援を行う。

公明、縦割りの壁打破を主張

こうした地域共生社会の実現について公明党は、国会議員と地方議員が連携して現場の声を受け止め、一貫して取り組んできた。

昨年の参院選の公約では、「断らない」相談・伴走支援、多様な社会参加を実現する就労・居住支援など、市区町村が既存制度の壁を越えて包括的な支援を提供しやすくするための新たな仕組みの構築を図ることを訴えた。

今回の社会福祉法の改正においても議論をリードした。

市区町村の取り組みが重要に

党生活支援プロジェクトチーム座長 山本香苗 参院議員

今、地域では、8050問題、介護と子育てを同時に行うダブルケア、ひきこもり、ゴミ屋敷などの課題が複合的に絡み合い、既存の制度だけでは対応できない事例が増えています。

こうした実態を踏まえ、党生活支援プロジェクトチーム(PT)として、住民に一番近い市区町村において、属性や年齢を問わずに相談を丸ごと受け止め、支援につなげていく、いわゆる「断らない相談支援」を中心とした包括的支援体制づくりの必要性を強く訴えてきました。その訴えが、ようやく今回の社会福祉法改正で形になり、感無量です。

しかし法改正したからといって、すぐに実現できるわけではありません。実施主体は市区町村です。先進自治体に共通することは、庁内連携体制ができていることに加え、住民や民間団体等と連携しながらソーシャルワーク(社会福祉援助技術)できる職員がいることです。

来年4月の施行へ、全ての自治体で取り組みが進むよう、必要な予算を確保するとともに、人材育成についても最大限支援できるよう、全力で取り組みます。

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