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コラム「座標軸」
間もなく、今年の折り返し点となる。この上半期、同じ読み方でも意味合いが微妙に異なる“ある言葉”に多く接してきた。「終息」と「収束」である。終わる、絶えることを意味する終息と、収まりがつくを指す収束。年頭、各メディアは終息を多用していた。当初、大流行するウイルスとまでは見通せなかった◆緊急事態宣言の解除を経て、国内は新たな日常生活への歩みを順次、進めている。7月1日には4カ月ぶりに東京ディズニーリゾートが再開する。10日からはプロ野球が観客を入れて試合を行う。いずれも政府のガイドラインに則り、安全面を最優先しての再始動となる◆世界で活躍するファッションデザイナーの森永邦彦氏は、コロナ後の業界像を展望している。新作を相次ぎ発表し、大量の在庫を抱えて販売するビジネスモデルは修正され、「本当に必要なもの、大切なものしか選ばれない」(12日付、読売夕刊)とみる◆新型コロナウイルスは多方面に変化を促す。政府や専門家が示した内容には戸惑いもあろうが、「何のためか」を考えたい。余計なまといをそぎ落として、すっきりした生活に変わる好機となるかもしれない◆3密を避け、手洗いを励行する。「正しく恐れる」ことの意味をかみしめつつ、前を向いて夏を迎えたい。