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【主張】旧優生保護法 過ちの検証は国会の責任だ
旧優生保護法(1948~96年)に基づき、障がい者らに不妊手術が強制的に行われていた問題で、衆参両院は旧法の成立過程や被害状況の調査を開始した。3年程度かけて文献調査や資料収集、関係者からの聴取を行い、報告書原案を作成する。
精神障がいや遺伝性疾患がある人を「不良」と見なし、子孫の出生を防ぐという優生思想の下、約2万5000人が不妊手術を受け、少なくとも約1万6500人は本人の同意なく手術された。非人道的で重大な人権侵害である。
被害者の女性が国に損害賠償を求めて提訴したことがきっかけとなり、昨年4月に救済法が成立、被害者1人当たり320万円の支給が決まった。今回の調査も同法に基づいて行われる。
旧優生保護法は、戦後間もなく議員立法で制定された。国会の責任は大きく、当時の議論の背景や経緯を調べることは当然だ。
折しも25日には、国内136の医学関係の学会が加盟する日本医学界連合の検討会が、旧法の制定や運用に医学・医療関係者が関与してきたことを認め、被害者へのおわびを医学者や学会に求める内容の報告書をまとめた。
国会による調査でも、人の命に優劣を付けるという過ちを「言論の府」がなぜ防げなかったのか、行政が担った役割は何か、幅広く調査・分析しなければならない。
ただ、制定から既に70年以上が経過しており、記録や資料の破棄が進んでいるとされる。プライバシーが漏れることを恐れる被害者が名乗り出ないケースもあろう。調査は困難も予想されるが、丁寧に進めてもらいたい。
優生思想に基づく問題は、今なお存在している。2016年に相模原市の障がい者施設で入所者19人が殺害された事件では、死刑判決を受けた加害男性が「障がい者はいなくなった方がよい」と述べ、社会に衝撃を与えたことは記憶に新しい。
めざすべきは、障がいの有無や性別、年齢などにかかわらず、誰もが互いを認め合い、支え合う共生社会である。その実現に向けた歩みを強めていく点からも、今回の調査の意義が大きいことを強調しておきたい。









