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コラム「北斗七星」
「冷たいお飲物と、温かいものは分けて袋にお入れしますか?」。村田沙耶香さんが4年前に芥川賞を受賞した『コンビニ人間』の主人公はバイト歴18年の女性。客を待たせずに、かつ丁寧にレジをさばく彼女の様子から、コンビニ店員の働きがいが伝わってきた。そんなコンビニで、来月から新たなレジ対応が加わる◆“袋はご利用になりますか?”。全国一律で小売店のレジ袋有料化がスタートする。開始済みのスーパーなどもあるが、レジ袋の使用量が多いコンビニ大手3社が一斉に有料化へ踏み出す。1枚3円(一部を除く)◆レジ袋を減らし、プラスチックごみの排出量を削減することが狙いだ。その背景に海洋汚染の深刻化がある。特に、波や紫外線で5㍉以下の大きさに砕かれた「マイクロプラスチック」は厄介だ。汚染が広がり、北極や南極でも観測されている◆レジ袋有料化を全国に先駆けて2008年から試みる富山県。ここでは折りたたむと名刺サイズに収まるマイバッグ(エコバッグ)の配布などを通じ、レジ袋辞退率95%を達成している◆民間リサーチ会社の調査(全国の男女1000人)によれば、有料化に「賛成」は63.2%。「エコバッグを持ち歩く」が82%。プラスチック製品の使い捨て文化から、環境に配慮したライフスタイルへの確かな一歩としたい。(東)