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【主張】自衛隊の医療支援 感染第2波でも機動力に期待
新型コロナウイルスの感染第2波への備えとして、自衛隊は医療支援の強化に向け「CT(コンピューター断層撮影装置)診断車」(移動CT車)を2台追加する。今年度第2次補正予算案に盛り込まれた。
クルーズ船や高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が発生した場合、現地でCT撮影ができれば、重症の兆候がある軽症者も見逃さずに病院に搬送できる。移動CT車の威力発揮の場面だ。
災害派遣で機動力を求められる自衛隊にとって移動CT車は重要な装備になる。政府は自衛隊の医療支援に関し、効果的な運用方針の検討を進めてほしい。
移動CT車が注目されたのは、工事のために長崎港に入港していたクルーズ船で、4月に感染者が出た時である。622人のクルーのうち、148人が感染し、7~8人の死者が出ても不思議ではない数字と言われたが、1人の死者も出さなかった。自覚症状のない軽症者でもCT撮影によって肺のわずかな異常を早期に発見し、すぐに病院に搬送したことが奏功した。
新型コロナの特徴として、軽症であっても急激に悪化し死亡する例がある。クルーズ船の対応に当たった長崎大学は、悪化する前に病院搬送をするにはレントゲンではなくCT撮影が必要と判断。それに応じて、長崎県の対策検討会に参加していた公明党の秋野公造参院議員は、自衛隊に1台しかない移動CT車の災害派遣を提案した。
移動CT車はクルーズ船のすぐ横に置かれ、CT撮影で肺に異常のない軽症者は船内に戻して個室隔離とし、中症以上を病院に搬送した。
秋野議員は「院内感染、施設内感染の死亡率は圧倒的に高い」と述べ、長崎のクルーズ船対策は、クラスター対策の成功例として、今後想定される第2波でも応用できると訴えている。
自衛隊は感染症対策の災害派遣として、空港での検疫支援、民間宿泊施設に滞在する感染者の生活支援、自治体職員などへの感染予防策の教育支援などで大きな成果を上げた。しかも、派遣隊員からは1人の感染者も出していない。こうした自衛隊の知見と機動力に期待したい。









