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復興庁 10年延長
福島帰還・移住が柱
30年度末まで存続 改正法成立
2020年度末となっている復興庁の設置期限を10年間延長して30年度末とする改正復興庁設置法などの関連法が、5日の参院本会議で自民、公明の与党両党などの賛成多数で可決、成立した。「復興・創生期間」(21年3月末で終了)後も、引き続き被災地に寄り添う体制を維持するため、復興を支える仕組みや組織、財源を一体的に整備する。東京電力福島第1原発事故で被害を受けた地域の支援を進めるとともに、地震や津波による被災地復興の「総仕上げ」を図る。
関連法は、復興庁設置法をはじめ、復興特区法、福島復興再生特別措置法などの改正で構成。自民、公明の与党両党の復興加速化本部が昨年8月に政府に提出した第8次提言に沿った、政府の復興基本方針に基づく内容となっている。
具体的には、引き続き首相直轄の組織として復興相を置き、東日本大震災の被災地の要望や課題にワンストップで対応する総合調整機能を維持する。
福島の再生については、原発事故で避難している住民の帰還に向けた交付金の支給対象を拡大。県外からの移住を促進したり、週末などに福島で過ごす人を増やす事業にも手当てする。
また、必要な財源を確保するため「復興債」の発行期間は5年間延長。政府が保有する日本郵政などの株式の売却収入を復興財源に充てる期間も延長する。
規制や税制上の特例を認める措置は、対象地域を絞り込む。また、被災地で行われた施策の先進事例を活用していく。
公明党は復興庁の存続について、党復興加速化本部が昨年3月から4月にかけて、岩手、宮城、福島の被災3県を訪れ、復興状況を調査。与党の第8次提言で復興庁の継続を求め、政府の方針とさせた。
被災地の要望反映
斉藤幹事長
公明党の斉藤鉄夫幹事長は5日午前、衆院第2議員会館で行われた記者会見で、改正復興庁設置法などの成立に関して、公明党が被災地域の首長などから強い要望を受けて進めてきたと述べ、「『復興・創生期間』は来年3月末で終了となるが、被災地の再生には中長期的な課題が多く、さまざまな施策を前進させなくてはいけない」と力説した。
その上で、「『風評』『風化』という“二つの風”と闘いながら被災者に寄り添い、被災者一人一人が『心の復興』『人間の復興』を果たすまで総力を挙げて取り組む」と強調した。